2014年3月10日月曜日
なぜコンサルタントが必要なのでしょう?
営業強化コンサルタントの庄司です。
前回も書いた通り、「コンサルタントって何をする人なのか?」を多くの人がわかっていません。
実はわたし自身も同じで、他のコンサルタントがどんなことをしているのかを知らずに「営業チーム強化コンサルティング」を始めました。
コンサルタントというのは、「わたしはコンサルタントです」と名乗ればできてしまうわけで「何を、どんなふうに、どのくらいやるか?」はその人次第という、考えてみればじつにリスキーで、依頼する側から見たらものすごくハードルが高い相手なのではないでしょうか?
わたしも業界の一員として、そんな高いハードルを少しでも下げて、適切なコンサルタントを選び活用していただくための一助となればと思って前回から書いています。
● そもそも何でコンサルタントが必要なの?
コンサルタントに依頼する意義のひとつは「時間の節約」にあります。
経営者やマネジャーの方々には釈迦に説法かもしれませんが、コストは「時間×労力」ですから、時間の節約はコストの削減になります。また、早く市場に出られれば機会が増えるので売上も増えます。時間が節約できれば、いいことばかりなのです。
要するに成功までの時間を短縮したいと思えば、コンサルタントが必要ということです。
では、なぜコンサルタントを雇うと時間が短縮できるのか?
● 成功イメージの有無が成否を分ける
良いコンサルタントを雇うと時間が短縮できる理由は簡単です。
それは、良いコンサルタントが成功も失敗も含めた豊富な体験によって、スタートからゴールまでの明確な成功イメージを持っているからです(下図)。
良いコンサルタントが講師をしているセミナーに行くと、多くの人が「これなら自分でもできそうだ」と思います。
良いコンサルタントのいうことは、シンプルですし、事例も奇跡的ということはありません。ちょっと頑張れば自社でもできそうな事例ばかりです。しかも、セミナーで話すような事例は、どん底から這い上がったというようなものがほとんどですから、なおさら自社でもできそうに思います。
ちょっとした考え方の違いなのだなと納得することも多いでしょう。
そのこと自体はもちろん悪いことではありません。
「わかる」というステップがクリアできたということです。
しかし、「わかる」と「できる」の間には、さらに大きな大きな壁があるのです。
頭でわかったことを実際にやってみて、それが完全にできるようになるためには何度も何度もトライ&エラーをくり返す必要があります。
多くの人たちが最初のトライでエラーして、そこで挫折してしまいます。
そのときに挫折しないために重要なのが「成功イメージ」があるかどうかということなのです。
良いコンサルタントには明確な成功イメージがありますから、クライアントに最終ゴールを示すのはもちろんですが途中でエラーが起こることも折込済みです。
リカバーの方法も知っているので、あえて失敗も経験してもらうことを前提にしながらクライアントが今どのポジションにあるかもしっかり把握することができます。
一方、セミナーに参加しただけの人の成功イメージはまだまだ弱々しいものです。
意気込んでやった施策がうまくいかないとあっという間に不安になってしまい元の状態に戻ってしまいます。
今どこにいるかもよく分かりません。自力でやろうとすると迷いながら進むしかないのです。
目的地に行くのに、最初は地図がないと迷って時間が掛かる。一度行けるようになったら(=成功イメージができたら)地図がなくても行けるようになる。コンサルタントはまさに地図なのです。
次回に続きます。
2014年3月4日火曜日
そもそも「コンサルタントって何をする人?
営業コンサルタントの庄司充です。
昨年の暮れから、吉見さん、森川さんが主催する333営業塾に参加させてもらっています。
わたしが参加している理由は、当塾に登録されている経営者や営業責任者の方々にも、ひとりでも多く「売れないほんとうの原因」を知ってもらい「強い営業組織をつくるためには何をすればいいのか?」をお伝えしたいからです。
約3ヶ月がたち、おかげさまで当塾からもたくさんの人にステップメールの申込み、DVDの購入、セミナーへのご参加をいただきました。
そのなかで、何人かの方々と話をしていてあらためてわかったことがあります。
それは「コンサル会社にコンサルティングをたのんだがまったくうまくいかなった」という人が、予想以上に多くいらっしゃるということです。
そのコンサル会社というのは、多くの場合、知名度のある大手コンサル会社です。
それも数百万という中小企業としては決して少なくない予算を払ってのことだそうです。
わたしの仕事は、実際にクライアント先に定期的に訪問をして実地で指導を行う「個別コンサルティング」がメインです。
他社の批判をするつもりは毛頭ありませんが、同じ業界で仕事をするものとしてこの状況を気にせずにはいられなくなってきました。
じつは、わたしもクライアントの社長さんから
「以前たのんだコンサル会社からは、20代の若いコンサルタントがやってきて、ものすごく横柄な態度で話をするのもいやになってしまった」という話や、
「こっちは正しいことを教えるまでが仕事で、うまくいかないのはあなたたちの問題だ」
と言われたとか、ちょっと信じられないような話をいくつも聞いていました。
某外資系コンサル会社に依頼して9000万かけて作ったレポートが、1年後には担当部長の机の引き出しの奥底にホコリをかぶって落ちていたという話も聞きました。
もっとストレートな話としては、会社を立ち上げて間もない某有名コンサル会社出身の経営者が、わたしにコンサルティングを依頼していただいたときのこと、わたしが「なんでわたしに?」と聞くと、「自分がいたコンサル会社で教えていることは現場の営業にはなんの役にも立たないんです。」とのことでした。
わたしは目の前のクライアントさんを成功させることに集中していて、他の会社のことをどうのこうの言うつもりもありませんでしたので「へえ、ひどいコンサルタントもいるもんだなあ・・・」くらいにしか思っていなかったのですが、ここにきてまた立て続けにそういうお話を聞くと、さすがになんとかしないといけないなという気持ちが強くなってきたのです。
もちろん、わたしはすばらしいコンサルタントで他はダメだというような話ではなく、
ただ、コンサルタントの「やっていること」「活用の仕方」「選び方」といった情報をもっともっと提供しなければいけないなという気持ちが強くなったのです。
そもそも多くの人が「コンサルタントって何をする人なのか?」がわかっていません。
コンサルティングの内容にいたっては、何をされるのかまったくイメージができないのではないでしょうか?
それもそのはずで、何をかくそうわたし自身も他のコンサルタントがどんなことをしているのか、よくわかっていないのです。(これはお互いにそうだと思います)
コンサルタントという仕事ははじめるのに何の資格もいりません。本人が「わたしはコンサルタントです。」と名乗ればいいだけです。
(一説によるとゲゲゲの鬼太郎のねずみ男もコンサルタントを名乗っているようです)
しかも、コンサルテイングといったって実施する内容や期間や金額に決まりがあるわけではないので、人によってまったく内容がちがっているのが実情なのです。
自分で言うのもなんですが、これほど怪しい職業はありませんよね。
怪しいわりに世間的には業界の情報が少なすぎるのです。
だから、ものすご~く悩んでいる人がたくさんいても知らないコンサルタントに下手に相談なんかできないのはあたりまえですよね。
だから、せめてもの安全策として名前を聞いたことがある会社、有名どころにいってしまう。
それは仕方のないことでしょう。
しかし、これほど多くのミスマッチが起こっているとしたらそれはあまりにももったいないと思うのです。
わたしがやっていることは、
・営業チームが思ったように動かずに悩んでいる企業に
・マネジメントのノウハウを移植することで
・人が育ち、常に目標を達成できるチームをつくること
です。
どうすれば強い営業チームをつくることができるのか、をお伝えするのはもちろんですが、
これからは、世の中にはどんなコンサルタント会社やコンサルタントがいて、それぞれ何を得意にして、どんなコンサルティングをしているのか、といった情報も、わたし自身がもっともっと勉強してみなさんにお伝えできればと思っています。
そのことで、みなさんが十分な情報をもとに、適切なコンサルタントを選び、活用していただくための一助となれば幸いです。
次回は「なぜ、コンサルタントが必要か?」についてお話しします。
2014年2月26日水曜日
まずは「気合い」で行動仮説を立ててみましょう
営業コンサルタントの庄司です。
前回は、営業マンを結果で責めても売れるようにならない、行動仮説を立てて、それと営業マンの実際の行動とのギャップを見て、足りないところをアドバイスしていこうという話をしました。
なお、行動仮説とは下図のようなものです。
● わからない時は「気合い」で?
さて、前回のような話を333営業塾代表世話人・森川滋之さんにしたところ、彼が1つだけ分からないところがあると言うのです。
行動仮説を立てて、それに基づいてアドバイスをするということはよく分かる、でも(図の中の)「商談率 20%」とか「契約率50%」とかという数字はどうやって決めるのかが分からない、というのが森川さんの疑問のようです。
「それは、今まで続いてきた会社であれば過去の実績があるはず。それを基に決めればいいんですよ」と僕が答えると、まだ食い下がってきます。
「その会社は営業力に自信がないから庄司さんに依頼するわけでしょう? だったら、そんな実績をベースに考えていいんですか?」
「それは、過去の平均で決めるんじゃないんですよ。トップの営業マンがいるでしょう?彼の実績をベースに考えるんです」
「なるほど。でも、トップ営業の実績で決めたら、他の営業マンはついてこれないのでは?」
「トップ営業マンの実績をそのまま採用するのではなく、その何割にするかというのを話し合って決めるんですよ」
「話し合うと言っても、どうやって決めるんですか?」
「最終的には、"気合い"です」
森川さんは続けて質問をしようとしましたが、彼の疑問に思うところがなんとなく分かったので、最後まで聞いてもらうことにしました。
● 仮説なので都度見直していく
「たとえば、過去のトップの実績が商談率30%で契約率が70%だったとしましょう。それを見て、だったら頑張れば商談率20%で契約率50%ぐらいいけるんじゃないかと、まずは決めてしまうんです。それが"気合い"の意味です。無理はダメだけど、背伸びすれば届くんじゃないかというあたりに設定するのがポイントです」
森川さんは黙って聞いています。
「で、実際にやってもらうんですね。全員がどれも無理ということなら、所詮仮説なんだから見なおせばいい。少し下方修正します。ただ、実際にやった経験では、それぞれ上回る人も下回る人も必ず出てくるんですよ。で、上回っている人の体験を全員で共有して、下回る人が参考にしていけば、だんだん一定の値に落ち着いてくるものなんです」
「なるほど。業界平均みたいなデータがあって、それに基づいて決めるのかなと漠然と思っていたのですが、答えは社内にあるということなんですね」
「そうなんです。その答えを見つけることが"仮説検証"の本当の意味なんです。そのためには最初に"気合い"で行動目標を決めるんですよ。その後は、データに基づいて科学的に修正していけばいい」
森川さんはこれで理解してくれたようですが、いかがでしょうか?
とにもかくにも、最初に行動仮説を立てないと検証も、それに基づくアドバイスもできません。
もし、あなたの会社やチームが営業目標を立てるところまでしかやっていないのであれば、まずは「気合い」で行動仮説を立ててみましょう。
2014年2月21日金曜日
営業マンを結果だけ責めてもダメ。では、どうする?
こんにちは、営業コンサルタントの庄司です。
売上目標を立てない会社はないでしょう。
たとえば、平均単価が100万円の商品があって、月間売上目標が5000万円だとしたら、50件契約する必要があります。営業マンが5人いれば、1人あたり10件の契約ということになります(このあたり、営業マンのレベル毎に目標を変えている会社もあるかもしれませんが、ここでは話を単純にするため均等に割り当てることにします)。
ここまではやっている会社がほとんどだと思うのですが、問題は月ごとに締めるときのミーティングの内容です。
わたしがコンサルティングに入った会社やセミナーに来てくださる会社のほとんどが、結果だけ見て、営業マンを評価します。目標に達しなかった営業マンを叱るだけのリーダーも問題がありますが、「次はがんばれよ」と励ますだけの"優しい"リーダーにも問題があります。
どういう問題でしょうか?
● 行動をチェックして、適切なアドバイスを
それは、どういうやり方であろうと、結果だけに着目して営業マンに何か言っても、当の営業マン自身は、「では、どうしたらいいか」ということがいつまでたっても分からないということです。
訪問件数が足りないので目標を達成できない人もいれば、訪問は一生懸命しているのにクローズできないので達成できない人もいます。契約数は十分なのだけど平均単価が低いという人もいます。
それぞれアドバイスの仕方は変わってくるはずです。
このようなアドバイスは、"行動仮説"を作っておかないとできません。
行動仮説とは、たとえば下図のようなものです。
10件の契約を獲得するためには、提案が20件必要なはずだ。そのためには100件の訪問件数が必要なはずだ。このように売上から逆算して決めていくのが行動仮説です。
訪問件数が足りているかどうかは、仮説として立てた100件と比較すれば分かります。提案が足りているかどうかも同様です。
仮に、提案が20件できているのに、契約数が5本の人がいたら、クローズのやり方に問題があるということですから、それを指導すればいい。
中には、契約数が15本なのに目標額に達成しない人もいます。それは平均単価が低いということですから、もっと大きな商談ができるようにアドバイスをします。
このように仮説を立てて、データを見て、適切なアドバイスをすることで営業マンを底上げしていくというのが、わたしのコンサルティングのやり方です。
とはいえ、疑問は湧きませんか?
次回に続きます。
2014年1月28日火曜日
仕事はイヤイヤやるもの?なんてもったいない!
こんにちは。営業コンサルタントの庄司です。
クライアントのリーダークラスの人たちと話をしていてびっくりすることがありました。
「やりがいとか、仕事を楽しむとか、考えたこともありませんでした。」
というのです。
このクライアントは、日本人なら誰でも知っているレベルの超大手企業です。
入るだけでも相当な難関を乗り越えなければならなかったはずです。
そこを勝ち抜いて、ここまでやってきた人たちです。
ひとりの方は社会人野球の監督として弱小チームを全国優勝に導いた実績も持っています。
もうひとりの方は、50歳を過ぎてから100キロのウルトラマラソンに挑戦して完走してます。
普通のマラソンなら3時間台で走れるようになったそうです。
みなさんただ者ではないのです。
そんなただ者ではない人たちが、冒頭の発言です。
つまり、仕事は生活のためにイヤイヤやるものだと思っていたと言うのです。
な~~~んてもったいない!
優勝監督だった方は、部下との信頼関係がつくれずに悩んでいるのだそうです。
ウルトラマラソンの方は、上司から「能力を発揮できていない」と言われています。
これこそ宝の持ち腐れ!
大きな資源の損出です。
なんで、こんなことになっちゃうの?
●理由は明白でした。
「何のためにやるのか?」
この会社では、組織として動くときにもっとも重要な要素が誰からも語られていないのです。
組織として「目指すもの」が、まったく共有されていないのです。
目標はあります。ノルマもあります。
だけど、何のためにその目標を追いかけるのかは、誰からも語られていないのです。いや、考えていないのです。
会社がデカすぎるのです。
つぶれるなんてありえないと思えるほどデカすぎるのです。
だから、いちばん重要なことが抜け落ちてしまっているのです。
理由なんか考えなくていいわけです。
納得いこうがいくまいが、疑問に思ってはいけないのです。
「言われたからやる」
「仕事だからやる」
「生活のためにやる」
こんな思考があたりまえになって、風土として定着してしまっているのです。
それでもつぶれないところに大企業の悲劇があります。
だから、よけいに変われない。
中小企業ならつぶれています。
仕事に目的が持てていない、できればやらずにすませたい、だけど評価は下げたくない
だから、いいわけが多くなる。責任逃れがうまくなる。
そして、仕事の能力ではなく、処世術に長けた人間のほうが出世してしまう。
それを見ていて、純粋でやる気がある人ほど意欲を失っていく。
こんな悪循環が繰り返されていくのです。
(上記のおふたりは、とても純粋で意欲もある方ですが、組織で力を発揮し切れていないのです。)
去年、奇跡の日本一をはたした「東北楽天イーグルス」は、星野監督が怖いからいやいやがんばって優勝したのではありません。
「東北を元気にしたい!」
星野監督が就任した直後に発生した巨大地震。
被災地の惨状を間近で目にした選手たちが抱いた強烈な思いが「力を合わせて目指すもの」としてはっきりと共有されたことによって生まれた奇跡であることはまちがいないでしょう。
野球の実力だけだったら、巨人のほうが上だったかもしれません。
思いの強さが、巨人を圧倒的に上回っていたのです。
「仕事は生活のためにするもの」それはそうかもしれません。
だからって、イヤイヤやってたらもったいない!
どうせやるなら、みんなが持っている力を思いっきり発揮できるような、それだけの価値を感じるような仕事をしたいじゃあないですか!
そのために、絶対に必要なのが「何のためにやるのか?」なのです。
メーカーの営業チームのリーダーだったら
「うちの会社が日本一お客さんに喜んでもらえる商品を出せるように おれたちはお客さんの声を聞きまくろう」
とか
学習教材の営業だったら「自分の担当エリアが日本一学力の高いエリアになるように 教材を使ってもらおう」とか
メンバーが誇りとやりがいを持てるような目的を持つことです。
それがあってはじめて仕事は楽しくなる。
楽しくなればどんどんきついことにも挑戦したくなる(ウルトラマラソンのように)
挑戦すれば、ますます力がついてくる
と、好循環が生まれてくるのです。
かくいう私も、以前はいやいや仕事をしていました。
それが今ではほんとうに仕事が楽しいと感じます。
仕事を楽しめるということは、ほんとうにありがたいことだとつくづく感じます。
あなたが経営者やリーダーなら
「何のためにやるのか?」
を示すことは、もっとも重要な仕事です。
まさか「部下は上司の言うことを聞くのが当たり前」なんて思ってないでしょうね?
「給料もらってんだから、黙って言われたことをやれ!」なんて言ってないでしょうね?
それって、リーダーとしての完全な職務怠慢ですよ。
「何のためにやるのか」を明確にしてください。
そして、それを全員が共感できるように伝えてください。
目的が伝われば、仕事は80%以上成功したようなものです。
わたしがコンサルテイングでまっさきにやるのも目的を明確にすることです。
冒頭のクライアントのリーダーさんたちも、最近では「仕事も、野球やマラソンと同じなんだ、みんなでひとつのことを目指せればもっともっとすごいことができるんだ、そしてそれはすごく楽しいことなんだ!」と思えるようになってきたと言ってくれます。
すべてのスタートはそこからなのです。
2014年1月21日火曜日
営業チームも達成したら「ビールかけ」をしよう!
こんにちは、営業コンサルタントの庄司です!
ときどき思うことがあるのですが、営業チームも年間目標とか達成したら「ビールかけ」をやってもいんじゃないかと。
もちろん、実際に事務所でやったらその後1ヶ月ぐらい使用不能になるでしょうけども、要はノリの話です。ビールかけのような全員で盛り上がるイベントをやろうという意味です。
プロ野球の優勝は、大の男たちが抱き合って涙を流すほど歓喜します。本気でがんばった営業チームの年間目標達成だってプロ野球の優勝と同じぐらい感動的なことだとわたしは思います。
●リクルートの目標達成会
わたしがいたリクルートでは、目標を達成すると、事業部や部門、あるいはチームごとに「目標達成会」をやっていました。
年間はもちろん、クォーター(3ヶ月)でもやりますし、月間でもやっていました。
年間やクォーターともなると、それは盛大なものになります。
まず、「○○事業部 年間目標○○億円 達成!!」といった横断幕を作ります。手作りなので当然手間ひまかかります。これを会場に貼り出します。
また、マネジャーは表彰状を作っておきます。これも手書きで、形式的な文章ではなく、表彰者のキャラやエピソードを盛り込んだ内容にします。達成者が多いと、この作業だけで丸々一日かかることもあります。
会場では、マネジャーは表彰者を呼び出し、全員の前で表彰状を読み上げます。
表彰状は、笑いの要素と感動のエピソードを交えて作られているので、その内容に表彰されている人がまずグッときます。読んでいるマネジャー自身も泣きそうになり、その様子を見て全員が感動します。
●ヒーローインタビュー
続いて目標達成者のヒーローインタビューです。
どんな思いでこの1年がんばったのか、苦しかったこと、どうやってそれを乗り切ったのか、どんな工夫をしたのかといったことが語られます。そんな話を聞いていると、今回は目標を達成できなかった人も、よし次はがんばろうという気持ちになります。
こうして、成績優秀者全員の表彰とヒーローインタビューが終わると、マネジャーからあいさつがあります。これは、全員に感謝とねぎらいの気持ちを伝える内容となります。
表彰式が終わったら、お待ちかねの打ち上げパーティーです。
乾杯のあと、ひとしきり酔いもまわったところで全員が一人一人来季への決意表明をします。
そうすると目標を達成できなかった人も「今期は、足をひっぱっちゃったので、来期は何が何でも目標の1.5倍の数字を達成します!」などと自発的に言い出すメンバーが出てきます。誰に強制されるわけでもないのですが、自分からそう言いたくなってしまうのです。
すると、すかさず周りから「よし!よく言った!」「だいじょうぶ!」「お前ならできる!」といった激励の声が飛び、目標達成者にも負けない大きな拍手が巻き起こります。
こういう話を聞くと、新興宗教の洗脳みたいで抵抗があるという人もいます。
しかし、このようなイベントが成立するためには、マネジャーは洗脳とはまったく逆の心掛けを常に持っている必要があるのです。
●感動的な「目標達成会」が成立するための条件
その心掛けは2つです。
1つは、個人の成績以前にチーム目標の達成が第一であり、そのために力を合わせているのだという意識を常に浸透させる努力をするということです。
このコラムでも何回か書いていますが、正しいマネジメントでは、誰がだめだったかにフォーカスを当てるということを絶対にしません。そうではなく「貢献した人を称賛する」という風土を常に作ります。
「目標達成会」はそのような風土が定着していることの証に過ぎないのです。年あるいは半期に一度形式的にやっている事務的で白けた結果発表だけではこうはならないでしょう。
もう1つは、目標を達成できなかった人についても、マネジャーはその努力を見逃さないということです。
チームの目標達成のために力を合わせる風土ができていれば、サボっていたので個人目標を達成できなかったという人はほとんどいなくなります。
先輩やほかのメンバーがチームの目標達成に向けて必死にがんばっている姿を見ていたら、自分もなんとか貢献したい、少なくとも足はひっぱりたくない、と自然に思うようになるからです。
じつは「仲間の真剣さ」というのは、もっとも質の高いプレッシャーなのです。上司の「もっと気合を入れろ!」なんていう下手な叱咤激励の100万倍、質が高くて効果的なプレッシャーなのです。
リクルート流の営業マネジメントを実行するためには、マネジャーは営業マンの行動量をほぼリアルタイムに把握していることが前提です。目標は達成できなくても、行動していることをマネジャーは把握しています。
なので、目標を達成できなかった営業マンにも「よくがんばってたくさんアポが取れるようになったな。あとは契約に結びつけられるように提案の精度を上げられれば次は絶対達成できるよ。いっしょにがんばろう。」というようなねぎらいの言葉をかけることができます。
営業マンからすれば、このようなねぎらいが嬉しいんですね。「もっと練習して、次は絶対達成しよう」という気持ちになる。
優秀な成績を上げた者には手間ひまかけて褒める。目標が達成できなかった者に対しても、そのチャレンジをねぎらう。
こうやってチャレンジがしたくなる風土を作っていくことがマネジャーの仕事であり、「目標達成会」はそのような風土であることを全員で確認する場だということなのです。
わたしが、「ビールかけ」にたとえたのは、そういう意味です。
プロ野球の「ビールかけ」で、成績が悪かった人に反省の弁をのべさせるチームなんてないでしょ。
チームの達成をみんなで思いっきり祝うことで、よりいっそう「この仲間とがんばりたい」「自分ももっとチームに貢献したい」という気持ちがわいてくるのです。
2014年1月7日火曜日
あなたは営業マンを「ほめる」ことができますか?
新年あけましておめでとうございます。
元日は、1年でいちばん街にストレスがない日かもしれませんね。
なんだか空気まで澄んで感じます。
今年も楽しくいきましょう!
■あなたは営業マンを「ほめる」ことができますか?
前回は、「結果を責めるよりも、できたことを褒めよう」という話をしました。
リーダーの使命は、力を合わせて目標を達成することであり、まんなかの8割に該当する人たちを、いかに高いレベルで戦力化するか が重要で、そのためには、途中でできたことをほめながら次の課題にチャレンジさせるというのは非常に有効な手法なのだ――ということが主旨でした。
このような話をすると、「そうは言っても、今までメンバーをほめたことがないし、うちの連中はほめるところなんかないんですよ。」と言う方が必ずいらっしゃいます。
これは、「ほめる」ということの意味を根本的にまちがえていることが原因です。
■未経験の営業マンを戦力化する流れ
「ほめる」というのは、メンバーを甘やかすことでもなければ、ごきげんをとることでもありません。
もちろん、そんなことは一切必要ありません。
「君はいいやつだ」とか「頭がいい」というように、人間性や抽象的な部分をほめてもなんの意味もありません。
では、何をほめればいいのか?
それは「具体的な行動」です。
新人の営業マンが、契約を取るための一連の行動ができるようになるまでには、相当の時間を要します。
企業によっては1年近くかかるところもあるようです。
ところが、わたしが経験したリクルートスタッフィングの営業アウトソーシング事業では、
未経験の派遣スタッフをたった2日間の研修で戦力化していました。
たとえそれがどんな商品であってもです。
なぜ、そんなことができたのか?
それは、事前にその会社のリーダーとトップ営業マンを集めて、彼らが契約を取るためにやっている行動をこと細かに聞き出して、それを誰でも分かるように整理して標準化していたからなのです。
これを「行動分解」といいます。
とうぜんのことですが、結果は途中の行動によって決まります。
途中の行動がまちがっていると、どんなにがんばってもいい結果は出ません。
とくに今の日本のような成熟市場ではなおさらです。
だから、「もっとがんばれ!」「やる気を出せ!」といった叱責は、ほとんど意味がないばかりか、メンバーをつぶしてしまうことにもなりかねないのです。
メンバーが求めているのは、精神論ではなく「どうすればうまくいくのか?」という「具体的な行動」を教わることです。
わたしがリクルート・スタッフイング時代に実践していた、未経験の派遣スタッフを戦力化する流れを簡単に説明します。
事前にその会社のリーダーとトップ営業マンを集めて聞き出した内容を
アプローチ→信頼関係作り→ヒアリング→プレゼン→クロージング→アフターフォロー
というように、大きなプロセスに分解します。
次に、各プロセスごとに
・目的
・実施内容
・使うツール
・注意するポイント
を整理していきます。
さらに「アプローチトーク」のように重要なものはマニュアル化して共有します。
このようにトップ営業マンの行動をある程度整理することで、経験がなくてもマネができる行動パターンができあがります。
その行動パターンを約2日間の研修で徹底的に叩き込むのです。
だから、彼らには「何をすればいいのかわからない」という迷いがありません。
迷いのなさは高いパフォーマンスを生み出すための大きな要素です。
途中の説明が長くなりましたが、このように「何をすればいいのか?」を明確にしたうえで、「具体的な行動をほめる」ということが重要なのです。
人はほめられた行動は自信を持ってくり返すことができます。
つまり、わたしがお伝えしている「ほめる」ということは、メンバーに「その行動は正しい行動だよ」という合図をひんぱんに送ることで、迷いなく行動できるようにしてあげるということなのです。
たとえば新人に、1日20件に電話をするという行動目標と、1件アポを取るという結果目標を与えたとします。
彼が1件もアポを取れなかったとしても、20件電話をすることができたらまずそのことをほめてあげることが重要なのです。
アポがとれなかったことを責められるより、20件電話をしたことをほめられることで、「次はアポがとれるようにもっとがんばろう!」という気持ちが生まれます。
そこですかさず、具体的なアドバイスをすることで効果は倍増するのです。
契約というゴールは、途中の行動の積み重ねです。
結果だけを見て、うまくいかないことを責められると、どこが正しくてどこがまちがっているのかさえわからなくなって身動きがとれなくなってしまいます。
行動分解をして、細かく行動目標を設定することで、「行動をほめる」「小さな進歩をほめる」ことが可能になります。
リーダーのこうしたきめ細かいサポートが、メンバーが劇的に変化する要因をつくり、強いチームができあがっていくのです。
「ほめる」ことがむずかしいと感じたら、自分自身が営業プロセスを分解できているかを問い直してみてください。
最初に取り組むべきことは、そこからです。
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