2013年3月20日水曜日

営業リーダーのみなさんへのメール

名古屋の「あつた蓬莱軒」で食べた「ひつまぶし」に
めちゃくちゃ感動した庄司です。
(ひつまぶし発祥の店だそうです。さすが!)
 
 
今回は、先日クライアント企業に送ったメールの内容が、
もしかすると、かなり多くの企業にあてはまるのでは
ないか?と思ったので、ご紹介します。
 
この会社は某大手企業グループの販売会社です。
 
営業のリーダーは、ほとんどが親会社からの出向者なの
ですが、営業マンは販売会社で独自に採用しているために、
さまざまな履歴の人たちが集まってきていて、これまで
の組織の文化が通じません。
 
そのため、営業マンとの関係がうまくいかずに
 
「メンバーが思ったように動いてくれない・・・」
「メンバーとの関係がうまくいかない・・・」
 
と悩んでいる人が多かったのです。
 
以下 そんなリーダーのみなさんにわたしが送ったメールの
内容です。(一般的に理解してもらいやすいように、若干の
アレンジを加えています)
 
以下
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■○○株式会社 営業リーダーのみなさんへ
 
メンバーをイキイキと動かすためにもっとも大事なことは、
何でしょう?
 
それは
 
「何のためにやるのか?」
 
目的をしっかりと伝えることです。
 
 
たとえば、コピーをたのむときでも
 
ただ「これ、コピー取っておいて」と言うのと
 
「これ、午後から商談する大事なお客さんへのプレゼン
資料なんだけど時間が押しちゃって、悪いけどコピー
取っておいてもらえないかな」
 
と伝えるのとでは、たのまれた人の行動に大きな差が出
ます。
 
 
「何のためにコピーを取るのか?」がわかっていれば、
 
「あのお客さんが決まれば今月のチーム目標が達成でき
るはずだ。よーし、時間はないけど少しでも会社の印象
をよくするために、紙をきっちりそろえて、ホチキスも
曲がらないようにしっかり止めよう」
 
と、主体的な行動が取れるようになり、工夫の余地も生
まれます。
 
主体的な行動は、必ず「いい仕事」に結びつきます。
 
その「いい仕事」に対して、 
 
「時間がない中で、すごくきれいにコピーしてくれてた
ね。おかげで、お客さんの評価も上々だったよ。きっと
契約になると思うよ。助かった、ほんとにありがとう。」
 
というように、しっかりと結果の報告と感謝の気持ちを
表せば、メンバーとのあいだに連帯感と信頼感も生まれ
ます。
 
もしも、「これ、急ぎでコピー取っておいて」としか言わ
なかったら、相手は「なんだよ、めんどくさいなあ。コ
ピーぐらい自分でとればいいのに」としか思わなかった
ことでしょう。
 
コピーひとつとっても、「何のためにやるのか?」をしっ
かり伝えるだけで、これだけ結果に差が出るのです。
 
しかし、組織で仕事をしている多くの人がこんなあたり
まえのことを忘れてしまいます。
 
それはなぜか?
 
組織では、いちいち「何のためにやるか?」なんて説明
しなくても、上司が「やれ」と言えば、部下はやらざるを
得ないからです。
 
組織が大きくなればなるほど、そこには厳密なヒエラルキー
が存在して、役職による上下関係は強くなります。
 
会社が決めた上下関係があれば、とりあえず人を動かすこと
はできてしまうのです。
 
このことが、本来、人を動かすためにあたりまえのはずの
 
「何のためにやるのか?」
 
を説明するという作業を忘れさせてしまいます。
 
もちろん、上司に言われれば部下は動くでしょう。
 
だけど、
 
「意味もわからずに仕方なく動く」のと、
 
「目的をしっかり理解して主体的に動く」のでは、
 
仕事の質に、雲泥の差が出るのはあたりまえのことですよね。
 
優秀なリーダーは、チームで何かに取り組むとき、人を動か
すときには、まず「何のためにやるのか?」を説明すること
に、ものすごいパワーをかけます。
 
事前に、説明の仕方や言い回しをしっかり考えて、メンバ
ーが不安や疑問に思いそうなことをあらかじめ想定して、
質問に対する答えも準備してからメンバーに伝えます。
 
あたかも大事な顧客にプレゼンに行く前のように入念な
準備をします。
 
伝えている最中も、メンバーが理解できているか、納得
しているかをしっかり見きわめながら、納得が不十分な
ようであれば言葉を足したり、納得いかない部分を聞き
出したりして、メンバーの目が、確信で「キラッ」と輝
くまで説明する努力をします。
 
「そんなめんどくさいことを」と思われるかもしれませ
んが、それが逆なのです。
 
これをやっておくで、あとが圧倒的にラクになるのです。
 
上司に言われたから仕方なくやる場合は、「めんどくさい
なあ、まあ怒られない程度にやっておけばいいや」という
最低限ですまそうという意識が働きます。
 
このように気持ちが入っていない仕事は、当然ながら
「いい仕事」に結びつくことはありません。
 
しかし、「何のためにやるのか?」を理解して、自分の役割
に納得して目が「キラっ」と輝いたメンバーは、その目的に
対して積極的な貢献をしようと、自ら動き始めます。
 
「これ、こんなふうにしてみたらどうでしょう?」
「こんなやり方って、ありですか?」
 
などと、まかせておいてもアイデアがどんどん出てきて、
最終的には、期待以上のびっくりするような成果を上げ
ることがよくあります。
 
そのときのリーダーの仕事といえば
 
「うん、それはいいね、やってみて」とか
「ああ、それはおもしろいアイデアだけど、ちょっと
目的からずれるから少し修正が必要だな」とか、
 
メンバーの作業の調整をしていくだけです。
 
人は「共通の目的」を持った仲間たちとともに働き、
チームに「貢献できた」ことに、ものすごく喜びと
誇りを感じます。
 
この感覚をつかんだチームは、何をやるときでもその快
感を得たくて自発的に動くようになるのです。
 
 
メンバーが最高のやりがいをもって動き出せるように
 
「何のためにやるのか?」
 
を、意義とワクワク感をもってしっかり伝えられる力が、
リーダーにとって、ものすごく重要なスキルなのです。
 
 
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2013年3月9日土曜日

「体罰」と「営業の世界」に共通する問題点とは

こんにちは!
 
営業チーム強化コンサルタントとして、この2月で
6年目を迎えた庄司 充です。
 
 
大阪の高校の事件をきっかけに、「体罰」(暴力行為?)
についての議論が巻き起こっていますね。
 
ここで学校教育やスポーツ界の現状にについて語るつもりは
ありませんが、ビジネスの世界、営業の世界でも、共通する
問題点があります。
 
今日は、そのことについて書いてみたいと思います。
 
 
 
その問題点というのは、リーダーや指導する立場になっても
 
「『教え方』を教わる機会がない」
 
ということです。
 
その結果
 
「自分ができた人ほど、リーダーになるとよく怒る」
 
と、いう現象が起こります。
 
 
自分ができた人というのは、
 
・はじめからがんばる理由が明確にあって、
・がむしゃらにやっていたら、
・いつのまにかできるようになっていた
 
という人が多い。
 
だから、なんで自分ができたのかをうまく説明する
こともできないし、できない人がなぜできないのかも
わからない。
 
それで、とにかく自分はがんばったからできた。
「できないやつはがんばりが足りないんだ!」という
思考になりがちなんですね。
 
プロのサッカーの世界では、どんな一流プレーヤー
でも、指導者になるためにはテストを受けて合格しな
ければならないそうです。
 
「自分ができる」ということと、「教える」「指導する」
ということは、まったくちがうスキルだということが
明確に認識されているのですね。
 
しかし、ほとんどの競技では、選手として一流だった
人を安易に指導者にしてしまうケースが多いよう
で、このへんに体罰問題の根幹の原因がありそう
ですね。
 
ビジネスの世界でも、営業マンとして優秀だった人が
教え方、指導の仕方をいっさい学ばずに我流でリーダー職
を務めているケースが圧倒的に多いのが現状です。
 
自分ができた人が「教え方」を知らずに、チームの勝利を
義務づけられるとどうなるか?
 
そうなんです。
そこで登場するのが、立場や権限を使って
「恐怖」で人を動かすという方法なんですねえ。
 
なぜなら、それがもっとも手っとり早くてカンタンな
方法だからです。
 
しかも、短期的に成果を上げるためには、けっこう
効果的だったりするんですねえ、これが。
 
80年代90年代に急成長した通信系のベンチャー企業
なんかも、こうした傾向が顕著でしたね。
 
さすがに体罰はなかったかもしれませんが
わたしが知っているところでも、いつも怒鳴り声が
聞こえていて、たまに用事で行っても事務所に入るのも
いやな会社がありました。
 
そうした会社は、いっとき確かに急成長しましたが、
その裏ではものすごいストレスが蔓延していて、
たくさんの社員が身も心もボロボロになってやめて
いったのです。
 
会社として成長するためには、あたりまえのことだ!
と、言われるかもしれません。
 
しかし、ストレスまみれで仕事をしている社員は
お客さんを喜ばせることもできないんですね。
 
当然のように一時を境に見るも無残に業績が急降下して
いきました。
 
 
 
鬼のようなモチベーションと強靭な精神力のある
一部の人は別として、わたしたちのような普通の人間が、
ハードな仕事を持続的にこなすためには
 
「自発的に動いて、挑戦することを楽しめる状態」
 
が必要です。
 
その状態をつくることを後押しするために
 
 
Why
「何のためにやるのか」を納得いくまで伝え
 
What
「何をすればいいのか」を明確に示して
 
HOW
「どうやればいいのか」を、ステップごとに
ていねいに教えていく
 
それが指導者に必要な基本のスキルです。
 
 
教わる人を
 
「やってみようかな」
 
「できるかもしれない」
 
「もっと、やってみたい」
 
というように導いてくれるのが優れた指導者です。
 
指導者にスキルがあれば、恐怖による支配は
必要ありません。
 
恐怖による支配は、指導者のスキル不足をごまかす
ための隠れみのにすぎません。
 
その証拠に、わたしの前職のリクルート社は、
日本のベンチャーの先駆けでもありながら、
わたしが入社した80年代でも恐怖による支配は
どこにも見当たりませんでした。
それでもいまだに成長を続け、いつのころからか
人材輩出企業といわれるまでになっているのです。
 
これは、
 
「自ら機会をつくり、その機会によって自らを変えよ」
 
という社訓に象徴されるように、
 
「強制ではなく自発的な行動こそが成長につながるんだ」
 
という考え方が、長きにわたって受け継がれてきた
結果です。
 
先輩から怒られるのがいやで部活をさぼったり、
バイト先でも、ちょっとでも怖い人がいるとすぐに
やめてしまったりしていた当時のわたしでも
ノビノビと気持ちよく仕事を続けることができたのも、
そんな社風と、指導していただいたリクルートの
先輩方のスキルの高さのおかげです。
 
わたしは、最初に入った会社がリクルートで
ほんとうによかったと思っています。
 
そんなわたしが、今ではクライアント企業に
そのスキルを伝える仕事をさせていただいている
というのはとてもありがたいことです。
 
リーダーのみなさん、メンバーがだらしないと言って
嘆くよりも「教えるスキル」を身につけましょう!
 
自分ができるようになるのと、人をできるように
するのはまったくちがうスキルです。
 
教えるスキルがあれば、恐怖や強制力は必要なくなり
ます。
 
役職や権限に甘えてはいけません。
 
コンサルタントだって、クライアント企業に反抗的な
人がいたとして、それを体罰で言うこと聞かせても
意味がないですよね。
 
「教えるプロ」としては、本人が納得して自ら動ける
状態をつくってあげることが仕事なのです。
 
 
わたしのクライアント企業の社長さんやリーダーの
方々も、営業チームのほんとうの指導方法がわかるに
つれて怒らなくなっていきます。
 
ある社長さんは、事務の女性から
 
「社長、最近きげんがいいですね。」
 
と言われて
 
「わたし、そんなに怒ってばっかりいたんですかねえ」
 
と言って照れ笑いをしていました。
 
 
 
わたしは小心者なので、怒るのも怒られるのも大きらい
です。
 
人が怒られているのを見るだけでもびびってしまい
ます。
 
店長がバイトの子を客前で怒鳴りつけているような
店には二度と行きません。
 
「教えるプロ」としては、まだまだ未熟さを痛感する
日々ですが、怒らなくてもメンバーを育てられる人を、
ひとりでも多く増やすことができたら本望だ、などと
ニュースを見ながら思う今日このごろなのでした。
 
 
追記:
 
とはいうものの、世の中には「怒られる」のが好きな人も
いるようで、恐ろしいおばちゃん講師が、参加者に平気で
怒声を浴びせるようなセミナーが盛況だったりするよう
ですが、受ける本人が行きたくて行ってるんだからそれも
いいでしょう。
 
猪木の闘魂ビンタみたいなものですかね。
 
わたし?いえ、わたしはけっこうです。(笑)
(闘魂ビンタはOKです)