2013年1月31日木曜日

会社が民主主義じゃうまく行かない理由は?


 前回、「絶対に怒らない営業コンサルタント」と呼ばれている話をしましたが、それでひとつ思い出したことがありました。

 そもそもあれです、「怒らない営業コンサルタント」という話がどうして出てきたか。

 「営業部長」ってやたらと怒っているイメージがあるみたいなんですね。

 部下をノルマで締め上げて、達成できないと「たるんどる!」とか「やる気あんのか!」とか「気合いだ!気合い!」あ、これはアニマル浜口ですけど、当たらずといえども遠からず。

 おそるおそる、「あの、このお客様にはB商品のほうが合っていると思うんですけど・・・」 と進言しようもんなら、「つべこべ言うな!」とまた怒られる、そんなイメージありませんか?



 実は私のクライアントの何社かで、そんなケースに出会いました。



 登場するのは、創業者の息子の2代目社長。

 たたき上げの初代がゼロから作り上げて大きく育てた会社を引き継いで社長となった若き2代目経営者。初代と違って高学歴、留学経験があることも珍しくないしPCスキルも高い。マーケティングやドラッカーなんかもよく勉強している。



 ところがところが、そんなスマートな若社長が往々にしてはまってしまうある失敗のパターンがあるんです。それは、



              会社を民主的に運営しようとすること



 意外でしょうか。えっ、民主的じゃダメなの? と思われるかもしれませんね。



 実は私も最初はわからなかったんですが、何例か見ていてはたと気がつきました。

 あ、こりゃだめなんだ・・・会社って民主主義じゃうまく行かないんだ。と。



 落ち着いて冷静に考えてみるとですね。一代で会社を大きくした創業社長ってワンマンタイプが多いんです。代表的なのがソフトバンクの孫さんかな。

 社長の一存ですべてが決まってしまう、そんな会社、そんな社長さん、きっと読者のみなさんも心当たりありますよね。

 そういうワンマンタイプは、よく怒ります。社内で部下を怒鳴りつけて動かすなんて日常茶飯事。そしてそれを見てきた2代目社長が経営を引き継いだとき何が起こるかというと・・・



              「ああいう社長にはなりたくない」



 という意識が働くケースが往々にしてあるわけです。

 我が親ながらその強権ぶりが見苦しくてしかたない、俺はあんな経営者にはなりたくない。親子だからこそ反発してしまうときもあります。教育レベルも高いので、社員の力を活かす美しき経営思想や経営管理の方法論の知識もある。目指すのはそんな経営。俺はきちんと社員の話を聞いて、自律的な行動を尊重し、社員の活力を引き出すマネジメントをしていこう・・・と願って民主的な経営を始めると、



 失敗します。



 だいたい、うまくいきません。そんなケースを何度も見ました。

 思うに、社員の活力を引き出すとか、そのために自律的な行動を尊重するとか、スローガンはいいんですけど、それが成り立つためには社員のほうもある程度人間として、ビジネスマンとして成長していなければダメなんですね。



 ワンマン社長の下で育った社員は、自分で考えて決断し行動することに慣れていない場合が多いです。だから、まずは「自分で考える」ことができるような社員が育つ環境を作ることからやらなきゃいけない。



 それに気がついたとき、実は、私自身がやってきたことの意味もよくわかってしまいました。



 私自身がやってきたこと、というのは実は2代目社長の理想の形なんですよ。

 前回の記事を読んでいただければわかると思いますが、営業コンサルの現場では私はほとんど怒りません。怒らずにボケツッコミを通して営業マン1人1人を鍛えていく、そんな役割を演じています。



(前回記事より引用)
http://sales-pro1.blogspot.jp/2013/01/blog-post_26.html


営業マン1人1人に喋らせ、そこに私がボケツッコミのツッコミ役を演じるわけです。それを繰り返すうちに、営業マン1人1人の「判断力」が上がっていくように。



 そうやって1人1人の成長をうながしているうちに、自力でいい判断ができるようになり、私の力を必要としなくなったら、そこでめでたく営業コンサルからは卒業です。ここまでいけば、2代目社長の理想の経営ができるはず。

 でもそれは、「ここまでいけば」の話です。

 「ここまで」いくための仕掛けがいろいろと必要なんですよね。

 じゃあいったいどんな仕掛けが必要なのか。

 2代目社長の理想の経営ができるように、営業社員のレベルアップを図るために必要な打ち手、それは一体何なのか? それは、次回のお楽しみです(笑)




2013年1月26日土曜日

営業マンのヨミ力を鍛えるアナログな日々



ちょっと聞いてみたいんですけど、営業コンサルタント、というと、体育会系熱血鬼営業所長タイプの延長みたいなイメージ、ありますか?

 え、ある? やっぱりねえ・・・そうなんでしょうねえ。

 いや実は先日、あるクライアントが私を紹介してくれたときに、



「庄司さんは絶対に怒らない営業コンサルタントなんです」



 というフレーズをかましてくれたもので、思わず「なんじゃそりゃ」と思って聞いてみたわけですよ。そうしたら、



だって、庄司さんほんとに怒らないじゃないですか。

営業コンサルタントなんて、鬼の営業所長みたいに

二言目には気合いと闘魂で怒鳴り散らす厚かましいタイプの人を

イメージしてたんですけど全然違っててほんとよかったと思ってるんです



 などとおっしゃるわけです。



 あらためてそういわれてみると確かに怒った記憶ってあんまりないです。

 あんまり・・・・うーん・・・・あれ? ほんとにないな。 ま、怒るよりも笑って仕事が出来たらそのほうがいいですよね。



正直言って、わたしは人の好き嫌いも激しいし、しょっちゅう頭にくるし、

言うまでもなくそんな立派な人間ではありません。



ただ、営業チームを育てるのに「怒る」ということ自体があまり有効だとは思わないから

怒らないのです。



 じゃあ怒る代わりになにやってるかというと、まあ簡単に言うと「ツッコミ」です。

 たとえばこんな感じです。



ある日のA社営業チームミーティングにて

B君:えーっと、先月からヨミに上がっているC社をなんとか

  今月契約に持っていきます。



庄司:あれ?C社が先月契約にならなかった理由って何だっけ?

B君:はい、金額の折り合いがつかなくて・・・。

庄司:そうだよね、で、折り合いがつくメドはたったの?

B君:いや、まだです・・・

庄司:だよね~、それってヨミかな?

B君:う~ん、え~っと、すいません願望でした(照れ笑い)

一同爆笑

庄司:(笑いながら)うん、気持ちはわかる。だけどお客さんが無理な

   値引きを要求してくるってのは、まだうちのサービスの本質を

理解してもらえてないわけだから、ここでしつこくクロージング

かけるより、一度ヨミからはずしてもう1回仕切り直したほうが

いいと思うよ。あとで、いっしょに作戦練り直そう!

B君:はい!





 これ何やってるかというと、つまるところは「営業マンが身につけるべき考え方を少しずつB君が学べるようにしてる」んです。



 たとえば同じ会社にB君と私が一緒に訪問したとしましょう。同行ですから一緒に先方の話を聞いて、こちらからも説明をして、終わって引き上げたところでの判断が



B君:あの会社は非常に有望だと思います

庄司:いやいや、全然ダメだろ



 と正反対になっちゃうことなんて珍しくないんです。特に営業経験が少ないと、どうしても「見込み度合い」への判断に希望と願望(あ、同じか)が入り込むので、どうしても甘い点をつけがちです。これをそのまま放っておくと、



本当は見込みのない会社に手間を掛けすぎて全然成果が上がらず、

肝心の「あと少し不安がとりのぞければ買ってくれる会社」へのプッシュが

足りない



 ということになりやすいんですよ。

 だから、ミーティングではこの「見こみレベルの判定」を念入りにやります。



どんな根拠で見こみレベルをいくらと判断したのか



 を営業マン1人1人に喋らせ、そこに私がボケツッコミのツッコミ役を演じるわけです。それを繰り返すうちに、営業マン1人1人の「判断力」が上がっていくように。



 いましがた「ボケツッコミ」と書きましたけど、ほんとにそんな感覚なんですよね。極めてアナログ的。こんなアナログ的ミーティングを繰り返して、1人1人の判断力を上げた上での「見こみレベル」だったら当てになります。

 こういう判断をするにはどうしても「何年もの間、いろいろな会社と担当者にアタックして成功と失敗と失敗と失敗(しつこい)を繰り返した死屍累々の経験」が必要で、それを何の経験もない新人営業マンが短期間に身につけるのは難しい。だから私のようなコンサルタントが「ツッコミを入れる」ことでそのサポートをする意味があるんですね。



 そんなわけで日々ボケツッコミに余念がない、絶対に怒らない営業コンサルタント・庄司充でした。


2013年1月22日火曜日

営業ができるから営業を教えられるとは限らない



私は「営業に困っている中小企業のために、営業チームを元気にするコンサルティング」を行っています。



 クライアントとして多いのは、



社長は営業が出来るんだけれど、それを部下に教えられない。

だから部下が育たず、「なんでこんなこともできないんだ!!」

と社長はついつい怒りっぽくなってしまう



 というそんなパターンです。

 で、あるときそんな話をある人としていたら、ちょうどこんな会話になりました。



 庄司:・・・というわけなのよ

 開米:あー、ありますよねそういうこと。人って自分が当たり前にできることはなかなか人に教えられませんからね

 庄司:あ、そうかそういうことか!



 このときの話し相手は誠ブログでも「読解力図解力と教える技術の謎解きブログ」を書いていて有名な開米瑞浩さん。



 そういえばそうです。これで思い出したんですが、以前わたしが新人営業マンのトレーニングを担当した会社で、ひとりだけぜんぜん売れないSくんという子がいたんですね。

ひとりで夜遅くまで残って一生懸命プレゼンの練習をしてがんばってるんだけど、なかなか成果につながらない。

「おかしいな?」と思って、一度営業に同行してみたらすぐに原因がわかりました。

Sくんはなんと、一生懸命練習してきたトークのことで頭がいっぱいで、お客さんが話してるときに、ほとんど相づちをうってなかったんです。

それで、お客さんとの話がぜんぜん盛り上がらなかった。



庄司「Sくん、原因がわかった。君に足りないのは相づちを打つことだ!」

Sくん「えっ?・・・」

庄司「相づちだよ相づち、へー、なるほどー、そうなんですねー、この3つの言葉を使うだけで君は売れるようになるよ、さっそく練習しよう!」

Sくん「は、はい・・・。」



それから、世にも不思議な相づちの練習が始まりました。

はじめは戸惑っていたSくんでしたが、それまで悩んでいた分、ワラをもすがる思いだったのでしょう、真剣に相づちの練習に取り組みました。



すると次の日、さっそくSくんからわたしの携帯に電話が!

Sくん「すごいです!お客さんが3倍しゃべってくれるようになりました!」

それはもうはじけるような声でした。



それで自信を取り戻したSくんは、1年たった今では会社のトップ営業マンです。



 アポ取って営業に行ったらまずは雑談をして空気をほぐす、相手の話を聞きながらきちんと相づちを打つ、ということ。できる人にとってはあまりにも当たり前すぎて、それが出来ない人がいる、なんて夢にも思わなかったんです。

普通、相づちを打つことを教えるなんて考えませんよね。





 庄司:ということですよね。自分では営業ができる社長って。

 開米:だと思いますよ。自分が何をやってるのか自覚しないまま出来ちゃってるんでしょう。自覚しないぐらいだから難しいと思ってないんです。本人にとっては当たり前すぎて・・・

 庄司:まさかそれが出来ない奴がいるなんて夢にも思ってない!

 開米:そうそう

 庄司:だから、自分でやればできるんだけど、人には教えられない。

 開米:ってことじゃないですか? 庄司さんはそこを自覚できるようにしていくことでコンサルティングをやってるんですよね。



 まさしくそうなんです。私のような営業コンサルタントは、まさに



「営業」という仕事は何をすることなのかを自覚できるようにして、

それを営業チーム単位で日々改善していけるように仕組み化する



 ことをお手伝いするのが仕事です。

 中小企業の社長は自分で営業が出来る人が多いのですが、いつまでも社長頼みでは会社は成長していけません。人材が育ちません。

 会社がもう一度成長を続けるためには、社長が動物的に野性のカンでやって成果を挙げてしまっていた営業の仕事を、誰でもできるように分解し、見える化し、継続的に改善されるように仕組み化する必要があります。

 それが、営業コンサルタントの役割なんですね。



あー、そういえばコンサルタントのなかには、やたらとダメ出しをして怒ってばかりの人もいるようですが、わたしの場合、自分が怒られるとやる気がなくなるタイプなので、クライアントにも怒るということはまったくありません。



たまに、怒られるのが好きなMッ気の強い人たちもいるみたいで、やたらとおじさんたちを怒鳴りまくっている関西弁のおばさんのトレーニングが盛況だったりするようですが、そういうのが好きなタイプの方は、私のコンサルは受けない方がいいですね(笑)



わたしはクライアントがもともと持ってる良さを引き出すことが仕事だと思っているので、むしろ、どうやって笑わすかを考えています。

リラックスして仕事を楽しめるようになってほしいですね。

だから社内に笑い声が増えていくことを目指しています。



●私の著書です。


「売れ!」といわずに30日で「売れる営業チーム」をつくる法
―リクルート5年連続全国No.1マネジャーが明かす驚異の実践メソッド
500社で実証済み

わずか2日で、シロウト集団がすごい売上げを記録!リクルートの「燃えるチームづくり」の真髄を初めて体系化した必読バイブル。出版社: 大和出版





2013年1月20日日曜日

数字だけでは業績が上がらないのはなぜか



突然ですが、先日ある会社のコンサルティングをしていたときのこと、社長さんが「庄司さんこれちょっと見てくださいよ」と言って私にある資料を見せてくれたことがありました。


 一体何だろう、と思って見てみると・・・・「○○社事業再生に向けての提言」といったタイトルがついています。どうやら、経営が思わしくない会社を立て直すために、事業再生コンサルティング会社が入って調査してまとめたレポートらしいです。


 パラパラとめくってみましたが・・・・正直さっぱり分かりません(笑)

 おいおいおまえもコンサルタントだろうが! なんて突っ込まれそうですけど(汗)、コンサルはコンサルでも私は営業チーム作りが専門なので、会社全体の事業再生のような話はちょっと畑違いなんですよ。


 ただ、わかったことが1つあります。

 それは、少なくとも営業チームの成績向上のためには、その「事業再生レポート」は役に立たないだろうな、ということです。そこは通算50社の営業チームづくりを見てきた私の経験上、断言できることでした。


 いったいどういうことか、というと、たとえばこういうお題目ですね。



■目標:販売体制の改革を進め、120%の売上を達成する


○個別施策

  取引業界の新規開拓と見直し

  売り場作りの提案力強化

  訪問件数の2倍増



 営業改革の欄を見るとこんな項目が並んでますけど、どれも具体性がまったくありません。



 ああ、こりゃ営業やったことのない奴が書いてるな・・・

 思わずつぶやきが口に出てしまったぐらいです。



いやいや、書いてあることはもっともなことですよ、よちろん。

だけど、大事なことはこのレポートには お金がかかっている ということです。



 たとえて言うなら、野球選手が巨額のお金をかけて雇ったコーチに



今シーズンは打率を3分向上させる!

そのためにはヒットを15本多く打つ!

そのためには練習量を倍にする!



以上 じゃあがんばって!



 と言われているようなもんです。

 「あ~、これが世にいう『あるべき論』かあ・・・」と妙な感心をしてしまいました。



 そりゃ「15本多く打つ」と言って打てれば苦労はしませんって。

 たとえば野球の選手だったら、ヒットが打てない原因を探してそこに手を打たなきゃダメですよね。

 選球眼が悪いのか、スイングが遅いのか、投手の配球データがないのか、筋力がないのか、足が遅いのか、等々、打てない原因は千差万別なはずで、それを見きわめて手を打っていかないと「ヒットを15本多く打つ」という目標は達成できません。



 営業だって同じです。「訪問件数の2倍増」と言われて実際2倍訪問して売上増えればいいですが、たいていそんなにうまくはいきません。

 法人営業では契約を取るまでに何度かの訪問が必要です。そこで見込み客リストの中でも「見込み度」の高い会社と低い会社に分けて、それぞれ営業の進捗状況を管理します。





 ここが大事なところなんですが、見込み度の高いAランクの会社が何社あって、Bランクの会社が何社、それぞれ何回訪問している、といった数字を把握することは必要ではありますが、数字だけ見ててもダメなんです。

 もっと大事なのは、その数字が出てくる理由です。

 たとえばある会社をAランクにするのかBランクにするのか、その判断を間違えていたら、見かけ上Aランクが何百社あっても意味ありませんよね。

 その状態でAランクへの訪問件数を増やしても、一社一社が手薄になるだけで、逆に売上が下がることだってあります。

 だから、



  訪問件数の2倍増



 なんて書いても無意味なんです。「ヒットを15本多く打つ」という目標と同じことで、そのために何をやるのかが問われます。



 で、そのために何をやるのか。

 「意味のある訪問件数」を増やして、実際に売上を上げるために何をするのか。



 ここで、ものすごく細かな判断の積み重ねが必要になります。

 この「判断」はアナログ的なもので、デジタルな数字には表せません。

 だから、



数字で目標を示すことは大事だけれど、でも、

数字をそのまま見ていても業績は上がらない



のです。

2013年1月9日水曜日

チームで動く仕組みをつくるのが、わたしの仕事




新年、あけましておめでとうございます。

営業チーム強化コンサルタントの庄司 充です。

本年もおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。



お正月の街は、人のストレスが浄化されるのか、1年でいちばん空気が澄んでいるように感じます。

今年は、今日から仕事始めという方も多いようですね。

また一年、盛り上がっていきましょう!



さて,今回は新年ということもあり、自分をふり返る意味もこめて、あらためて自分が「やっている仕事」を整理してみました。


わたしの仕事をひとことで言うと、

「リーダーが怒らなくても 
メンバーが自ら動いて
チーム一丸となって目標を達成する方法」

をお伝えすることです。



・営業マンが思ったように動いてくれない
・新人が育たずにすぐにやめてしまう
・チーム目標がいつも達成できない

そんな悩みを抱えている多くの営業リーダーに

・営業マンがイキイキと動き出して
・新人も即戦力になり
・常に高いチーム目標を達成できる

そんな営業チームをつくる方法をお伝えしています。


しかも、それは営業マンの個人的な力量に依存することはありません。
リーダーしだいで、今のメンバーを変えることなく「最強チーム」に育て上げることができるのです。


どうすれば、そんなことができるのか?


それは、営業を

「個人まかせの営業」から

「チームで動く営業」にシフトすることです。


「チームで動く営業ってどういうこと?」

ほとんどの人がそう思われたことでしょう。
それも無理はありません。


なにしろ、誰もが知っている上場企業から社員数名の中小企業まで、300社以上の営業チームを見てきたわたしの経験のなかでも、9割以上の会社は個人まかせの営業をやっているのですから。


それでは、「個人まかせの営業」と「チームで動く営業」のちがいを説明していきましょう。

まず、「個人まかせの営業」というのは、

・目標を与えて
・やり方は本人にまかせて
・結果について反省する

という方法です。

この場合のリーダーは、結果は把握してもプロセスは把握していないことがほとんどで、営業マンの行動がブラックボックスになってしまいます。

そのため、リーダーからのアドバイスは、

「次は死ぬ気でがんばれ!」

という精神論や

「もっと、お客さまの信頼を勝ち取れ」

といった抽象論に終始することがほとんどで、新人が育たず、売れない人はいつまでも売れないという現象が起こりやすくなります。


一方「チームで動く営業」というのは、

・うまくいった行動のなかから成功要因を見つけ出し
・その成功要因を誰でもできるようにパターン化して
・パターン化した行動を全員で検証しながら、さらに進化させていく

という方法です。

リーダーを中心に

「こういう行動をすると、こんな結果につながる」

という、プロセスと結果の因果関係に注目して検証していくため、精神論より確率論が中心になり、個人の力量に左右されにくく、新人もすぐに戦力として活用することができるのです。


多くのリーダーの悩みは、営業のプロセスを個人まかせにしていることに原因があります。

チームで仮説検証を回す営業スタイルにシフトすることができれば、チームは劇的に変化するのです。



しかし、現状では多くの企業が営業を個人まかせにしたままです。
それは、それでも通用した時代が長く続いたことが原因です。

日本は1950年代の後半から30年以上にわたって右肩上がりの経済成長を続けてきました。

イケイケドンドンだった当時の市場は「買うのが前提」で、極端な言い方をすれば、営業は「行けば売れた」のです。

やり方は個人にまかせていても、熱意と行動量があれば、誰でもある程度の結果を出すことができたのです。

売れてる人はほったらかしで、売れない人にひたすらハッパをかけるのが、この当時の典型的なリーダーの姿です。


しかし、1990年代も後半に入ると時代は大きく変わりはじめます。

経済成長は鈍化し、市場は成熟しました。
成熟した市場は「買わないのが前提」です。

さらに2000年代に入るとネットの急速な普及によって「買い手」と「売り手」の情報量の逆転現象が起こります。


買わないのが前提の市場で、豊富な情報をもった買い手に対して、個人の熱意と行動量に依存した営業スタイルは、もはや通用しません。

それどころか、あせった営業マンが、むやみに売り込みをかけたり、自社商品のメリットばかりを強調して強引に商談を進めてしまえば、市場から総スカンを食ってしまうことでしょう。


成熟した市場においては、チームが情報を共有しながら連動して動く営業スタイルが絶対的に必要なのです。


今、営業リーダーがやるべきことは、営業マンにハッパをかけることではなく、チームで動く営業の指揮をとるノウハウを身につけることです。


リーダーの指揮のとり方によって、チームは見ちがえるように力を発揮します。


チームで動く仕組みをつくるための手間と、指揮をとるノウハウが身につくまでの多少の時間は必要ですが、むずかしいことはひとつもありません。

むしろ、聞けばあたりまえのことばかりです。

しかし、残念ながら個人まかせの営業スタイルで育ってきた多くの営業リーダーたちは、その方法を知りません。

市場に合わない営業方法を、精神論で押しつけてしまっているのが現状です。


そこで、そんな悩める営業リーダーに、チームで動く仕組みをつくり、指揮をとるためのノウハウをお伝えするのがわたしの仕事なのです。