2014年2月26日水曜日

まずは「気合い」で行動仮説を立ててみましょう


営業コンサルタントの庄司です。

前回は、営業マンを結果で責めても売れるようにならない、行動仮説を立てて、それと営業マンの実際の行動とのギャップを見て、足りないところをアドバイスしていこうという話をしました。


なお、行動仮説とは下図のようなものです。





● わからない時は「気合い」で?



さて、前回のような話を333営業塾代表世話人・森川滋之さんにしたところ、彼が1つだけ分からないところがあると言うのです。



行動仮説を立てて、それに基づいてアドバイスをするということはよく分かる、でも(図の中の)「商談率 20%」とか「契約率50%」とかという数字はどうやって決めるのかが分からない、というのが森川さんの疑問のようです。



「それは、今まで続いてきた会社であれば過去の実績があるはず。それを基に決めればいいんですよ」と僕が答えると、まだ食い下がってきます。



「その会社は営業力に自信がないから庄司さんに依頼するわけでしょう? だったら、そんな実績をベースに考えていいんですか?」



「それは、過去の平均で決めるんじゃないんですよ。トップの営業マンがいるでしょう?彼の実績をベースに考えるんです」



「なるほど。でも、トップ営業の実績で決めたら、他の営業マンはついてこれないのでは?」



「トップ営業マンの実績をそのまま採用するのではなく、その何割にするかというのを話し合って決めるんですよ」



「話し合うと言っても、どうやって決めるんですか?」



「最終的には、"気合い"です」



森川さんは続けて質問をしようとしましたが、彼の疑問に思うところがなんとなく分かったので、最後まで聞いてもらうことにしました。



● 仮説なので都度見直していく



「たとえば、過去のトップの実績が商談率30%で契約率が70%だったとしましょう。それを見て、だったら頑張れば商談率20%で契約率50%ぐらいいけるんじゃないかと、まずは決めてしまうんです。それが"気合い"の意味です。無理はダメだけど、背伸びすれば届くんじゃないかというあたりに設定するのがポイントです」



森川さんは黙って聞いています。



「で、実際にやってもらうんですね。全員がどれも無理ということなら、所詮仮説なんだから見なおせばいい。少し下方修正します。ただ、実際にやった経験では、それぞれ上回る人も下回る人も必ず出てくるんですよ。で、上回っている人の体験を全員で共有して、下回る人が参考にしていけば、だんだん一定の値に落ち着いてくるものなんです」



「なるほど。業界平均みたいなデータがあって、それに基づいて決めるのかなと漠然と思っていたのですが、答えは社内にあるということなんですね」



「そうなんです。その答えを見つけることが"仮説検証"の本当の意味なんです。そのためには最初に"気合い"で行動目標を決めるんですよ。その後は、データに基づいて科学的に修正していけばいい」



森川さんはこれで理解してくれたようですが、いかがでしょうか?

とにもかくにも、最初に行動仮説を立てないと検証も、それに基づくアドバイスもできません。



もし、あなたの会社やチームが営業目標を立てるところまでしかやっていないのであれば、まずは「気合い」で行動仮説を立ててみましょう。



2014年2月21日金曜日

営業マンを結果だけ責めてもダメ。では、どうする?


こんにちは、営業コンサルタントの庄司です。



売上目標を立てない会社はないでしょう。


たとえば、平均単価が100万円の商品があって、月間売上目標が5000万円だとしたら、50件契約する必要があります。営業マンが5人いれば、1人あたり10件の契約ということになります(このあたり、営業マンのレベル毎に目標を変えている会社もあるかもしれませんが、ここでは話を単純にするため均等に割り当てることにします)。



ここまではやっている会社がほとんどだと思うのですが、問題は月ごとに締めるときのミーティングの内容です。



わたしがコンサルティングに入った会社やセミナーに来てくださる会社のほとんどが、結果だけ見て、営業マンを評価します。目標に達しなかった営業マンを叱るだけのリーダーも問題がありますが、「次はがんばれよ」と励ますだけの"優しい"リーダーにも問題があります。



どういう問題でしょうか?



● 行動をチェックして、適切なアドバイスを



それは、どういうやり方であろうと、結果だけに着目して営業マンに何か言っても、当の営業マン自身は、「では、どうしたらいいか」ということがいつまでたっても分からないということです。



訪問件数が足りないので目標を達成できない人もいれば、訪問は一生懸命しているのにクローズできないので達成できない人もいます。契約数は十分なのだけど平均単価が低いという人もいます。



それぞれアドバイスの仕方は変わってくるはずです。



このようなアドバイスは、"行動仮説"を作っておかないとできません。



行動仮説とは、たとえば下図のようなものです。







10件の契約を獲得するためには、提案が20件必要なはずだ。そのためには100件の訪問件数が必要なはずだ。このように売上から逆算して決めていくのが行動仮説です。



訪問件数が足りているかどうかは、仮説として立てた100件と比較すれば分かります。提案が足りているかどうかも同様です。



仮に、提案が20件できているのに、契約数が5本の人がいたら、クローズのやり方に問題があるということですから、それを指導すればいい。



中には、契約数が15本なのに目標額に達成しない人もいます。それは平均単価が低いということですから、もっと大きな商談ができるようにアドバイスをします。



このように仮説を立てて、データを見て、適切なアドバイスをすることで営業マンを底上げしていくというのが、わたしのコンサルティングのやり方です。



とはいえ、疑問は湧きませんか?



次回に続きます。