2014年10月27日月曜日

社長は会社のビジョンを社員に語れ!


営業コンサルタントの庄司です

前回に続き、ライティング・コンサルタントの開米さんと話をしています。


開米:会社が変わるためには、社長が「本気で信じられる、実現に全力を尽くせる」ビジョンを、「自分自身で」考え、「自分自身で」社員に語りかける必要があるそうですが、そこに至るまでの間に「ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまう」ことがあるというのは、具体的にどんなものなんでしょうか?

庄司:「ダメなやり方」の典型的なのは、なんといっても「丸投げ」ですね。人に振っちゃうんですよ。お前これやっとけ、と、人に振っちゃう。

開米:たとえば誰に振るんですか?

庄司:そこで出てくるのが「ダメなイエスマン」型のマネジャーです。
 社長が頑張って、どうやら「ビジョン」らしきものを考えたとしても、それを社員に語る段階でマネジャーに丸投げしちゃうんですよ。すると「ダメなイエスマン」型のマネジャーはそれをそのままコピーするみたいに現場に伝えてしまう、と・・・

開米:ああ、こういうタイプいましたねえ。「教祖様のお言葉を下々に伝える教団幹部」みたいなマネジャーさん。お前は伝書鳩かテープレコーダーか! と言いたくなる感じの

庄司:そうそう、それです。社長自身には自分の創業時の原体験もありますから、本気で信じているビジョンだったとしても、マネジャーにはそれはわかりませんから、言葉が劣化コピーになっちゃうんですよね。これじゃ現場には伝わりません。

開米:そういうの、現場の人間としては「上の方で何か言ってるな~。また何か浮ついたこと思いついたんだろうな~」ぐらいの感覚で聞いてましたね。

庄司:そうでしょう? 丸投げするとどうしてもそうなっちゃうんです。だから、それじゃダメです、と。社長が現場に降りてきて、社員に語りかけてください、と、私がコンサルに入るといつもそれをうるさく言います。

開米:社長が直接、現場の社員に語ったとしても、簡単じゃないんですよね?

庄司:大変ですよ。最初のうちは「ポカーン」とされるだけです。でも、社長が自分の体験をもとにして本気で信じているビジョンだったら、少しずつ伝わるんです。

開米:でもそれは丸投げしちゃダメ、と。

庄司:はい。まあついつい丸投げしたくなるのはしょうがないんですけどね。本来、会社がある程度大きくなってきたら、社長が現場のマネジャーの仕事してちゃいけないので、「細かいところはお前に任せた」で現場に振っちゃうのが、あるべき姿ですから。

開米:そうですね。でもこの場合に限っては・・・・

庄司:はい、会社を建て直すために、「俺たち全員であそこに行くぞ、こんな会社になるぞ」というビジョンを考えて、それを全社に浸透させよう、というこの段階では、丸投げしちゃいけないんです。社長が自分でやらなきゃいけない。

開米:大変ですね。

庄司:大変ですよ。で、これをやるためには、社長に2つの覚悟が必要です。

開米:2つの覚悟?

庄司:はい、1つは、そのビジョンが示すところに「社員全員を連れて行く」という覚悟です。一人も見捨てない、みんなで行くんだ、という覚悟です。

開米:なるほど、会社がチームとして機能するようになるためにはそれが必要ですね。市場で戦う前に社内で内輪もめしてたら、勝てるわけがないですからね。

庄司:はい、そして2つめは、1つめと矛盾するようですが、「一人になっても行くんだ」という覚悟です。

開米:一人になっても・・・・

庄司:そうです。ビジョンというのは、世の中に価値を提供するイメージです。この仕事はお客さんに役に立つ、価値ある仕事だ、だから俺はやる、たとえ一人になってもやる、という、そういう覚悟があって初めて、それに共感する社員が出てくるんです。

開米:なるほど・・・・いや、実は私も・・・・

庄司:何ですか、何かありましたか?

開米:ある人がそういうビジョンを語るのを聞いて、ぐぐっと来たことがありました。これを実現したい、と本気で願っている人がいると、思わず自分もそれに何か協力できないか、と思っちゃうんですよね。

庄司:そこなんですよ。それにはやはり「一人になってもやる」という覚悟が必要で、それがあると共感してくれる社員が出てくるんです。

開米:なるほど! いや、よくわかります!

庄司:ということで、「丸投げしてはいけない」という最初の話に戻ります。さっきも言いましたけど、本来、会社がある程度大きくなってきたら、社長は現場の仕事をしちゃいけません。でも、この件に関してはそうじゃないんです。会社のビジョンを社員に語るというのは、社長にしか出来ない仕事です。だからここはダメなイエスマン型マネジャーに振っちゃいけない。自分でやらなきゃいけない。そこは常に気をつける必要がありますね。

2014年10月20日月曜日

社長は覚悟を決めてビジョンを語るべし


営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


前回に続き、ライティング・コンサルタントの開米さんと話をしています。

開米:今までのお話をまとめますと、

・「会社が本気で変わろうとする」ためには、社長を含む上級役職者が「権力による強制力」を捨てる覚悟を決めて、現場に降りて指揮をとることが必要。

・しかし、ダメなイエスマン型の上級役職者は、「権力を捨てる」ことができずに辞めてしまうことが多い。

・一方、社長はそれができる。そこは自分で会社を作ってきた社長と、社長からの借り物の権力を振り回してきたイエスマンの違いなのだろう。

・ただし、社長は「権力を捨てて現場に降りてくることが出来る」と言っても、そこに必要な覚悟は並大抵のものではない。

ということでした。となるとここで気になるのが、社長が覚悟を決めれば会社が変われるという、その「覚悟」がどのぐらい「並大抵のものではない」かということです。

庄司:社長が「権力を捨てる覚悟を決める」と、こんなことが起きます。今まで私がコンサルティングをしてきた会社で共通に見られるのが、たとえば「社長が怒らなくなる」ということです。

開米:怒らなくなる?

庄司:はい、「怒る」というのは命令と服従という、「権力」に基づく関係じゃないですか。しかしそれではうまくいかなかったわけですよ。いくら命令しても社員は思い通りには動かない。そして会社が傾いてしまった。それは自分が「チームの育て方」を知らなかったからで、自分の責任なのだ、ということを身にしみて感じると、怒らなくなるんです。

開米:なるほど、でも怒らないと社員がサボるんじゃないかとか、社員に甘く見られるんじゃないかという気がして踏み込めない社長さんもいそうですね。

庄司:そこである会社の例なんですが、社長が覚悟を決めて、怒らなくなり、会社のビジョンを何度も社員に語るようになってから半年ぐらいたったある日のこと・・・・

開米:はい・・・?

庄司:会社の飲み会の場でですね、社員が自発的に肩を組んでその「会社のビジョン」を唱和する、という事件が起きたことがあります。社長さんを大感激させたハプニングでした。

開米:それはヤラセじゃないんですね(笑)

庄司:もちろん誰も仕込んでませんよ(笑)。でもねえ、こんなこと、命令したって出来ることじゃないですからね。

開米:本当に自発的なものだったんですね。

庄司:そうです。ここまでくると、社員がそのビジョンの実現にやりがいを感じて、プライドをもって仕事を進める状態になってますから、「怒らないと社員がサボるんじゃないか、甘く見られるんじゃないか」なんて心配、もう、笑っちゃうぐらいどうでもいいことになりますね。

開米:なるほど、確かにそう言われると「甘く見られちゃいけない」なんて、ものすごい小物感が漂ってきました(笑)

庄司:でしょう? で、こうなるためには、社長が「本気で信じられる、実現に全力を尽くせる」ビジョンを、「自分自身で」考え、「自分自身で」社員に語りかける必要があります。これがとても難しくて大事な大仕事ですね。

開米:難しいというとやはり時間がかかりますか。

庄司:自分の言葉で語れるビジョンを作る、という段階で3週間ぐらいかかることが多いです。

開米:3週間! それは自分の中で明確なイメージになるのにそれぐらいということですね?

庄司:そうです。だからそこから社員に浸透するのにはさらに23ヶ月かかるのが普通ですね。

開米:そこで挫折してしまうケースもあったんですか?

庄司:いや、私がコンサルタントとして関わった会社さんについては、挫折というケースはありません。ですが、最終的にはうまく行くにしても、途中はいろいろあるんですよ、ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまうことが。そこでいちいち、そうじゃなくてこうしましょう、と社長にダメ出しをするのが私の役割です。そういうダメ出し役がいないと挫折しやすいですが、いればうまく行くと思います。

開米:ダメ出しを受け入れるにも覚悟が必要でしょうけれど・・・・

庄司:そうですね、そこは私もいつも感心するところです。自分が出来ないことについては助言を素直に聞く、というのは、さすがに会社を背負う社長という役割をずっと担ってきた、ナンバー2以下とは違う、ふところの深さなんだろうなと思いますね。

開米:なるほど・・・・。ところで、「ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまう」という話が出ましたけれど、具体的にどんなものか興味があるんですが・・・

庄司:そうですね、じゃあ次はその話をしましょうか。

  (長くなりましたので続きは次号で)

2014年10月7日火曜日

イエスマンが会社を去る日はくる?



営業コンサルタントの庄司です


前回、文書化コンサルタントの開米さんから、こんな質問をされたところでした。

開米:社長に対してなんでもハイハイと従う、まあ率直に言ってしまえば「ダメなイエスマン」でも、社長が有能だったら役に立つときもあるわけですよね。ずっとそのままでは困るけれど。でもその「ずっと引きずられちゃ困る」という、社長に対するイエスマン、現場に対するノーマンの感覚を引きずったまま役職を得ちゃって、あげくに抵抗勢力化して現場から「あいつ使えねえ」と言われているような、そんな人って何とかなるものなんでしょうか。変身できた事例ってありますか?

庄司:いやあ・・・・私が直接関わった範囲では、ないですね・・・・

開米:ない、ですか。それはその、希望が持てない話ですねえ


庄司:はは、ただ、会社としては希望は持てるんですよ。というのは、そういう抵抗勢力化している人って、会社が変わろうとしている時にはだいたい辞めちゃうんです。

開米:辞めちゃう? 辞めさせられる、ではなく?

庄司:辞めちゃう、ですね。辞めさせようとしたわけじゃないのに、なぜか辞めちゃう。そういう例が本当に多いんです。

開米:そういえば以前も聞いたことがありましたね、その話。ああ、これですね



権力関係の中での人への接し方はなかなか変わらない
http://sales-pro1.com/mtweb/blog/2014/05/post-37.html


庄司:そう、それです。上司という権力にあぐらをかいて部下に圧力をかける「強権型マネジメント」に陥っているタイプの人は、辞めちゃうわけです。以前も話しましたけど、リーダーが「ダメな自分」を認められれば活路が開けるんですけどね。

開米:「ダメな自分」を認められれば、周りの誰かが助けてくれる。それが「チーム」になるということ、ですね。

庄司:そうなんです。でも、社長はそれができても、強権型マネジメントしかしてこなかったナンバー2にはできない。

開米:自分で会社を作ってきた社長と、社長からの借り物の権力を振り回してきたナンバー2の違いなんですかね・・・・

庄司:そうですね。ただし、それはあくまでも中小企業の場合なんですよ。中小企業の場合はそういう「威張っているだけで役に立たない」、ダメなイエスマンタイプのナンバー2ってだいたい1人しかいないので、その上と下、つまり社長と現場が一緒に変わろうとすると、居心地が悪くなって辞めてしまいます。

開米:大企業では違う、と?

庄司:違いますね。この話、もともとある大企業さんのマネジャー研修を依頼された時の話題がきっかけでしたが、



なぜ大企業ではイエスマンが出世してしまうのか?
http://sales-pro1.com/mtweb/blog/2014/08/post-50.html


庄司:大企業だとそういうタイプの「偉い人」がゾロゾロいるわけですよ。

開米:ゾロゾロいるから、目立たない、と(笑)

庄司:さらに大企業だと、「社長と現場が一緒に変わろうとする」というシチュエーションがなかなかないですから・・・

開米:辞めずに済む、と(笑)

庄司:別な見方をすると、やっぱり大企業にはそういう余裕があるんですよね。役に立たない人も雇っていられる余裕が

開米:イイネ! と言ってみましょうか(笑)

庄司:でも、その分なかなか変われませんからねえ。中小企業なら社長が覚悟を決めるだけで済むような話が、大企業だとそうもいきませんし。永遠にそのままだとやはりどんなに大きくても会社ごと潰れます。

開米:世の中、いいことばかりではないですね。ところで、「社長が覚悟を決める」というのは簡単なことですか?

庄司:・・・じゃあ次はその話をしましょうか



  (さらに続きます)