2016年8月23日火曜日

うれしいメール




営業チーム強化コンサルタントの庄司充です



少し前のことですが、クライアントのA社さんからうれしいメールが
届いたので、今回はその話を。

そのメールは「年間販売目標を達成できました!」という内容でした。

しかも、全商品(7種類)の目標をパーフェクト達成したそうで、
それは5年ぶりのことなのだそうです。

この会社は誰でも知っている通信系大手の販売部隊として7年前に
できた会社で、わたしのクライアントの中でもいちばん規模の大きい
企業です。

3年前に約1年半の個別コンサルティングを受けていただきました。
依頼をいただいた経緯は、

・親会社から出向できているマネジャーと現地採用の営業マンの
関係がうまくいっていない

・できる人とできない人の差がはげしい

・新人がなかなか育たず、すぐにやめてしまう

・結果、売り上げが伸び悩み、年間目標達成は絶望的

・抜本的な解決策が必要

というものでした。


大手企業なので系列にコンサルタント会社があって、そちらに依頼した
こともあったらしいのですが、内容は営業マンのスキルアップをはかる
ことがメインで、効果は局地的で一時的なものに終わってしまうらしく
販売部隊を統括する営業企画の部長さんと課長さんは

「もっと、組織全体の改革が必要なのでは・・・」

と、かなり悩んでいたとのことでした。

このおふたりの危機感はそうとうなもので、ネット上を探し回って
わたしのサイトを見つけていただいたそうです。(ありがたいことです。)

わたしを選んでいただいたのは、わたしのサイトに書かれている
「チームで動く」「力を合わせる」といった言葉に無性に興味が
わいたのと、いい意味で自社とはまったく異文化の感じがしたから
なのだそうです。

しかし、コンサルティングをはじめてわかったことは、問題は
予想以上に深いということでした。

管理職と営業マンの信頼関係がまったくできていなかったのです。

立ち上がりの数か月は、わたしも正直言って「こりゃ、まいった・・・」
と思うことが何度もありましたが(詳しい話はまた別途書きたいと
思います)企画課長のYさんの執念がすごかった!

とにかく、コンサルティングのなかでわたしがお伝えしたことを
すぐに自分たちで試してみる。

試したあとはうまくいった、うまくいかなかったことの報告と、
うまくいかなかったことについて「何がよくなかったのか?」
「どうすればうまくいくのか?」を、毎週日曜日の早朝に、
まるで巻物のような超長文のメールでこと細かに質問してこられます。

わたしもYさんの思いに応えるべく必死で返事を書いていたので、
1年近くのあいだ日曜日の午前中はYさんへの返信でつぶれていたほど
でした。

Yさんがすさまじい情熱と執念でわたしのお伝えするマネジメント改革
に取り組んでいただいたおかげで、それから1年後には、なんと絶望的と
思われていた全社の年間目標を達成することができました。

もちろん、そのときもうれしかったのですが、今回さらにうれしいのは、
それから2年たった今でもさらに売り上げが伸び続けているということ
なのです。

わたしはセミナーでもコンサルティングでも

「チームの成功は99%リーダーにかかっている」


と言っています。

「ないから買う」で売れた経済成長期とはちがい、顧客ごとに
「ほしい理由がちがう」今の市場では、営業マンが個々に動いて
管理職が「売れた」「売れない」を見て発破をかけるだけの
営業組織のあり方ではまったく通用しません。

・営業マンの活動によって仕入れた現場の情報をチームで共有して、

・その情報をもとにもっとも効果的と思われる営業方法をパターン化して、

・そのパターンを検証しながらさらに精度を上げていく

という「チームで仮説検証サイクルを回す仕組み」をつくることが
必須なのです。

経営者やリーダーが、しっかりと仮説検証サイクルを回す仕組みを
つくってチームを運用できるようになると、A社さんのように
会社やチームが見ちがえるように明るく元気になっていきます。

重要なことは「営業マンをきたえること」ではなく
会社やチームが力を合わせて営業活動をできるようになることです。

わたしにとっては「あっ変わったな」そう思える瞬間が、
この仕事をしていて感じる最高の喜びなのです。

Yさん、うれしいメールをありがとうございました!

2016年6月21日火曜日

いよいよ発売開始!




営業コンサルタントの庄司です。

本日、弊社パートナーコンサルント宮地幸夫さんのはじめての著書が
発売となりました。(書店によってならぶまでに若干のタイムラグがありますが)

タイトルは

「宮地式『売れる営業』に変わる 40の"ちょっとした工夫"」です。


リクルート時代に顧客ゼロの状態からはじめて、その後すべて自身による
新規開拓によって8年間にわたってすべての個人目標を達成するという
とんでもない実績を残した宮地さんですが、タイトルどおりそのとき
実行していたちょっとした工夫の数々が紹介されています。

わたしは原稿の段階から見せてもらっていたのですが、読むたびに
「なるほど!」「うわっ、まじで~」と、ひとりで興奮していました。

この本の制作にあたっては、昨年末にこのメルマガで宮地さんの紹介を
したその日に大和出版さんからオファーをいただき、さっそく年明けには
企画の打ち合わせに入り、何回かの打ち合わせののち内容が決まって
宮地さんが原稿を書き始めたのが3月の半ばすぎ、それから2か月弱で
いっきに書き上げるという大和出版編集長T氏特有の疾風怒濤の
スケジュール感で行われました。

わたしもどうなることかとハラハラして見ていましたが、最終的には
内容はもちろんタイトルも表紙のデザインもとてもすばらしい本に
できあがりました。

一見ハチャメチャに見えるスケジュールもT氏の頭のなかでは著者の
力量もふくめてちゃんと完成図が描けていたのでしょう。さすがはT氏!

「営業の強い会社」として語られるリクルートのなかでも歴代トップクラスの
実績をつくった宮地さんが、どのように営業という仕事をとらえて実際に
どんなことをやっていたのかを具体的に明かした本作品は、営業に関わる
すべての方々にきわめて重要な気づきを与えてくれるはずです。


ぜひ、読んでみてください。お薦めです!


宮地さんのプロフィールはこちら


2016年6月9日木曜日

8年間連続目標達成の秘訣 その2



営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


パートナーコンサルタントの宮地幸夫さんのはじめての著書が
いよいよ発売になりますが(6月中旬ごろ予定)、このメルマガでは
原稿の下書きをお借りして、一足早く読者のみなさまに内容の一部を
お届けしています。

今回はその第2弾です。

宮地さんはリクルート時代の先輩で、顧客0の状態からスタートして、
その後の自身の新規開拓によって、なんと8年間(96ヶ月)にわたって
個人目標を達成し続けた営業界のヒクソン・グレーシーのような人です。

今回の著書では、その連続達成の秘訣が惜しみなく公開されています。

8年間無敗の男が目標を達成するためにどんなことをやっていたのか?
そのノウハウをご覧ください。

では、どうぞ!

(以下、宮地さんからお借りした原稿の下書きです。まだ校正前で
あることをご了承ください。)

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第4章 18.初回訪問後、2週間内に3回訪問しよう


初回訪問後、いつ2回目の訪問をしていますか


新規開拓営業の場合、ほとんどの人が即ニーズがなければ、思い出した
ように1か月後、2か月後の時間に余裕がある時に訪問していると思います。

私が実践したのは、初回訪問後、2週間内に3回訪問を基本行動とすることです。

誰かに教えられた訳でも、そのような行動をするよう指導された訳でもありません。

何故でしょう。

いくつかの行動パターンを書いてみます。


(1)初回訪問後、1か月後に2回目訪問、またその1か月後に3回目訪問

3か月の間に、1か月1回訪問のペース


(2)初回訪問後、2か月後に2回目訪問、またその2か月後に3回目訪問

半年の間に、2か月1回訪問のペース


(3)初回訪問後、2週間内に2回目訪問、3回目訪問を繰り返す


(1)から(3)まで、どれも初回から3回訪問をしています。


私も営業を始めた頃は、(2)や(3)のパターンがほとんどでした。
ある時、気づいたのです。

(2)や(3)のパターンだと、再訪問した時の相手の印象が、

「この人といつ会ったかな・・」や
「どんな製品・・、どんなサービスだったかな・・」

と思いだしている方が多かったのです。

この訪問先の見込み度は「今は必要ないがとりあえず情報だけは欲しいな」
という顧客群です。

ですから、忘れかけそうな時期に何度も訪問を続けるよりは、最初に強い印象を
残すほうが得策と考えました。

(1)(2)のように、1か月や2か月ごとにフォローし続けるより、
(3)がよりインパクトがあると考えました。考えたら即実行です。

簡単な表現をすれば、どうせ3回訪問するなら、よりインパクトを与える
3回訪問であるべき、ということです。

(3)を実行し始めたところ、お客様の印象は2回目訪問時
「また来たか」という感じです。

3回目訪問時は、
「何故、来たのか、発注などでないのに・・」という印象でした。

この印象をどう捉えるかです。私は、非常に単純な考えをします。
(3)の方が、断然強い印象を与えられる。ということです。


(1)(2)のような、弱い印象だと、その間にニーズが発生した場合、
競合他社に奪われる可能性があります。

(3)の場合、そのニーズを最初に察知できる可能性高いのです。

このやり方を続けられたのはそれだけの効果があったからです。
私の実績がそれを現わしています。

どうせ3回訪問するなら、間を空けるのはやめよう
即ニーズがない顧客群です。

今後も長い期間、継続したフォローが必要になります。

ならば、製品やサービス以外で相手に強い印象を与え、ニーズが出てきた
時には、

「いつも来ている彼に連絡するか・・」という状況を作る必要があります。

これを「よく自分を売る」というような表現で表す人もいますが、
私には自分を売れば良いなどという意味不明の言葉は必要ありません。

そんな感覚的な言葉で、後輩や新人に理解してもらえるでしょうか。

業績を上げている人にも「自分を売る」と言う表現を使う人もいますが、
それは自分自身の行動を分解していないだけです。

その人の行動を分析すれば、誰でもが、理解できる行動をしているのは
間違いありません。

お客様にどのようなインパクトを与えるか、ニーズが出てきたときに、
目の前に自分がいるようにするためには何をすべきかを常に考えましょう。

私も考えた結果が、この「2週間内に3回訪問する」だったのです。

――――――――――――――――――――――――――――――

いかがでしょう。

今回の話でわたしが注目していただきたいのは「2週間に3回行く」と
いう行動そのものよりも、そこにいたるまでの宮地さんの行動の流れです。

少し、解説をします。

まず宮地さんは、

即ニーズのないお客さまに対して、タイミングがきたときに他社ではなく
自分に連絡をもらえるように「強いインパクトを残す」という明確な
目的を設定します。

次に、そのためにどのくらいの頻度で訪問するのがもっとも効果的か
いくつかのパターンを実験します

そして、実験の結果を検証してもっとも効果の高かったパターンを
ルーティン化してくり返しているのです。

この

(1)目的を決める

(2)いくつかのパターンを試す

(3)うまくいった方法をくり返す

という一連の作業が「仮説検証を回す」ということです。


わたしがコンサルティングでクライアントのみなさまに伝えているのが、
まさにこのことなのですが、宮地さんは30年以上前からひとり仮説検証を
回していたのです。

宮地さんが、いつも

「気合とか根性とか思ったことない」と言っているのはこのことを
さしています。

どのくらいのタイミングで、どのくらいの頻度で、どんな資料をもって
どんな話をするのがもっともお客さまに理解してもらえるのか?

を、つねに仮説を立てて検証をくり返しながら向上させているのです。

会社全体、チーム全体で仮説検証が回せるようになれば、個人の気合や根性に依存した営業から脱却することができます。

今回の著作では、宮地さんがいかに仮説検証を回して小さな工夫と改善を
くり返すことで目標達成を実現していたのかを実感することができます。


お楽しみに!

間もなく発売!

2016年5月30日月曜日

8年間連続目標達成の秘訣



営業コンサルタントの庄司です

パートナーコンサルタントである宮地幸夫さんのはじめての出版に
向けての作業が佳境に入っています。

何度かお伝えしているように、宮地さんはリクルート時代の先輩で、
顧客0の状態からスタートして、その後の自身の新規開拓によって、
なんと96ヶ月8年間にわたって個人目標を達成し続けた営業界の
ヒクソン・グレーシーのような人です。

わたしが宮地さんと同じ部署にいたのは20代のころですが、さほど
走り回っている様子もないのに毎月軽々と目標を達成する宮地さんを
間近で見ていて

「この人、いったいどんな仕事のやり方をしているんだろう?」と、

 不思議でしかたありませんでした。

 今回の出版で、ついにその中身が明かされます!


「人と同じことをやっていても 人と同じ結果しか出ない」

「気合とか根性とか 思ったことない」                


その確固たる信念にもとづいた宮地さんの営業方法は、すべての
営業マンにとって必見の内容になるのはまちがいないでしょう。

何より私自身がものすごく楽しみにしています。

そこで、このメルマガでは、一足早く執筆中の原稿の下書きをお借りして、
内容の一部を数回にわたって読者のみなさんにお届けすることにしました。

8年間無敗の男が、目標を達成するためにどんなことをやっていたのか?
そのノウハウをご覧ください。

 では、どうぞ!
(以下、宮地さんからお借りした原稿の下書きです。まだ校正前であること
 ご了承ください。)

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第2章 14.付箋とマーカーを使おう

 自己満足の営業になっていませんか?

商談終了後に、これでもかと沢山の資料をお客様に渡す営業担当の
人をよく見かけます。

何か、しっかり仕事をしたような気になっているようです。
あなたもそんな経験はありませんか。

しかし、これはずばり、自己満足の典型のような営業です。

お客様は、営業された後、ほとんど資料はみないと考えるべきです。

例えばあなたは、携帯ショップで渡された沢山の資料を、
帰宅後くまなく見るでしょうか?

ちょっと、見ようと思っても、あまりにも沢山の資料やデータ類があると
見るのが嫌になりませんか。

あなたのお客様も同じだと思います。

商談後は、お客様は興味・関心のある部分だけピンポイントで見ようとします。
渡された資料をくまなく見るお客様は皆無でしょう。

その前提に立てば、資料にかかれていることを上手に話せて、
お客様もその時は理解したかもしれませんが、漠然とした記憶なのです。

商談後は、商品(サービス)の説明や特徴は資料に語らせるのです。
そのためには次のツールが最適です。

付箋とマーカー


私は、お客様に渡す資料の大事なポイントには必ず付箋を貼りました。
必ず読んでもらいたい部分には、マーカーを引きました。

それはなぜか。

付箋は、「このページを見て」とお客様に示してくれます。

マーカーは「ここを読んで」とお客様に伝えてくれます。

商談後にマーカーを引いたり、付箋を貼ったりしてはいけません。

お客様に渡す資料は別途用意しておいて事前に付箋やマーカーは引いて
おくのです。

どんな短い時間でもお客様に無駄な時間で待たせてはいけません。
それは数十秒でもおなじです。

私は、そんなことにも全力で取り組みました。

R時代、河野栄子さん(元リクルート社長)が

 「トップ営業と並の営業のちがいは、資料に付箋を貼るかどうか・・」


 というような表現をされていた記憶があります。

わたしにとって、非常にインパクトのある表現でした。

この言葉の意味することは、できる営業マンと他のちがいは、お客様に
見て頂きたい資料に付箋貼る、というような「気づき」があるか、
というような話と記憶しています。

お客様に商品やサービスを理解してもらうための工夫(気付き)の差が、
トップ営業と並の営業マンとの大きな差、なのです。

見ている視点が違うと感じました。

最後に、お客様は商談時間内でしかこちらが提案(説明)したことを考えない
ものです。

ですから、商談後に提案した内容に興味・関心をさらに高めてもらうためにも
工夫が必要なのです。

自己満足型の営業パターンに陥ることなく、お客様に情報を伝える手段を
徹底的に各論で考える繊細な思考が大事です。

付箋とマーカーは営業担当の必需品です。

私は付箋とマーカーを常時持参して、ちょっとした待ち時間にマーカーを
引く、移動の電車内で付箋を貼るのは常でした。

付箋とマーカーを使う、たったそれだけのことが、あなたのお客様への
提案の品質を上げていくのです。


――――――――――――――――――――――――――――――

できる営業マンとダメな営業マンのちがいは、資料に付箋を
打つかどうか。

いかがでしょう?

あれ、もしかしてがっかりしましたか?
もっと、すごい魔法の杖のようなノウハウを期待していましたか?

いえいえ、とんでもありません。

この拍子抜けするほど小さな工夫の積み重ねが、
できる営業マンとダメ営業マンを決定的に分けているのです。

できる営業マンは、誰でもできる小さな工夫を誰よりも
たくさんやっているのです。

わたしはいただいた原稿の河野栄子さんとの件を読んだときに
鳥肌が立ちました。

次回も宮地さんの原稿の一部をお送りします!

2016年4月14日木曜日

できる人は教えるのがヘタなのでしょうか?



営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


前回のメルマガで紹介した渡瀬さんの新刊

「超一流の 相手にしゃべらせる雑談術」


を読んでいるときに、ふと思ったことを書きます。


渡瀬さんの著書はどれも「営業に笑顔はいらない」「電話はテンションを
上げずにしゃべる」など、独自の視点でとらえたノウハウをわかりやすい
文章でまとめたもので、わたしもすごく参考になることが多いのですが、
今回のテーマである雑談については、私自身はこれまで真剣に考えたことが
ありませんでした。

それはおそらく、これまでとりたてて雑談でこまったという経験が
なかったからなのでしょう。

雑談を、スキルとして意識したことがなかったのです。

だから、雑談のスキルを知りたいという人が少なからずいるということには
ちょっとびっくりしてしまいます。

すると頭のなかに、こんな問いがうかんできたのです。

「では、そんなわたしは、雑談がうまくできずに悩んでいる人に
わかりやすく教えることができるのか?」

ちょっと想像してみましょう。


もしもわたしが誰かに「雑談って、どうすればいいのですか?」と
聞かれたとしたら、おそらくまっさきに浮かぶのは
「えっ?なんでそんなこと聞くの?」という思いでしょう。

たとえ、むりやり答えたとしても「何も考えずに普通に話せばいいだけだよ。」
というような抽象的でざっくりした答えになってしまうと思うのです。

自分が意識してやっていたわけではないから、悩んでいる人の気持ちが
わからないし、教えようと思っても自分でもどうやってできていたのか
わかっていないのです。

で、話はここからです。

そこで、ふと思ったのです。

「世の中の経営者や営業リーダーたちが悩んでいるのもこれと同じ現象なんだ・
・・」と。

わたしのセミナーや研修に参加していただく人たちを見ていても、
営業の責任者になる人の多くは、自分が売れる営業マンだった人たちです。

行動力にすぐれ、自らいろいろな工夫をして、直感的に営業の精度を
上げていって高い実績を出せるようになったタイプの人たちです。

本人たちにすれば、夢中でやっていたらいつの間にかできるようになっていた
というのが本音でしょう。

しかも、自身をそんなに優秀な人間だとは思っていない謙虚な人が多いので、
売れない部下を見たときに、たとえばこんな思考になってしまうのです。


自分のようなふつうの人間でもがんばったらできた



教えると言っても、口で説明するのはなんだかむずかしい



でも、自分ができたのだから誰でもできるはずだ



数をこなして経験を積めばいいだけだ



なのに、どうしてできないのか?



行動量が足りないだけじゃないのか?



ということは、やる気が足りないだけじゃないのか?


で、けっきょくこのように「やる気の問題」という強引な理解で自分を
納得させようとしてしまいます。

その結果「もっとやる気を出せ!」という安易な叱咤激励になって
しまうのです。

しかし、残念ながら、やる気を出せと言われてやる気になる人は
ひとりもいません。

むしろ、やる気を失っていくだけです。

ハッパをかければかけるほどチームのモチベーションは下がっていく、
ほんとうに多くのリーダーたちがこのパターンにはまっています。

では、どうすればこのパターンから抜け出すことができるのでしょうか?

そのために、とても効果的な方法があります。

それは、「行動分解」という方法です。

行動分解というのは、できる人がやっている一連の行動を分解して、
ひとつひとつ言語化していく作業のことです。

たとえば

担当顧客をうけもったら

・まず、データで顧客の基本情報を調べる

・HPを見て情報を収集する

・前任者に先方担当者の特徴を聞いておく

etc

といった具合です。

さらに必要に応じて

・基本情報で把握しておく重要な項目は何か?

・HPでとくにチェックするのはどのページか?

などと掘り下げて行きます。

めんどくさいように思われるかもしれませんが、これが想像以上の成果に
つながることがよくあります。

これは、わたしのクライアント企業でビジネス電話の訪問営業を
やっている会社で実際にあった話なのですが、売れている営業マンの
行動分解をしてみたら、新規の会社に訪問した場合に、担当者に会えなくても
必ず事務所で使っている電話機をチラッと見てメーカーと型式とおおよその
使用年数をメモしていることがわかりました。

ただ、その人にとってはあたりまえのことすぎて、わざわざ教えるような
話でもないと思っていたのだそうです。

ところが、成績の悪い営業マンに聞くと、なんと5人中4人が
電話機を見てメモしておくという作業をしていませんでした。

行動分解をして、できる人とできない人のやっていることを比較していくと、
こうした細かいちがいがたくさん出てきます。

そして、そのちがいのほとんどは意識すれば誰でもできるレベルのことなのです。

実際にこのクライアント企業の売れない営業マンたちは、売れてる営業マンが
やっていた行動をひとつひとつ確認しながらマネをすることで、4か月後には
全員が目標を達成することができました。

つまり、気合やカンといった暗黙知で語られがちな営業の仕事を、
できるだけ言語化して形式知にするだけで、メンバーによるバラつきが減り
チームの底上げをすることができるということです。

しかも、できなかった人が、自分ができていなかった理由を理解した上で
できるようになると、渡瀬さんの雑談のように、教えることに関しては
もともと無意識にできていた人よりもうまいということがよくあります。

こうしてチームにいいサイクルが生まれて、よりいっそうメンバーが
育つ強いチームに育っていくのです。

2016年3月28日月曜日

9年目



こんにちは、営業コンサルタントの庄司です。

わたしが営業チーム強化専門のコンサルタントとして独立してから
今年で9年目に入りました。

早いもので、来年には10周年をむかえます。

ふり返れば、けっして準備万端でスタートしたわけではなく、
46才でリクルートを退社した後に、役員として参加した知人の会社が
うまく軌道にのらず1年間無収入が続き、そもそも無計画で、たいした
貯金もしていなかったわたしは食うために会社を離れるしかなくなって
しまったのです。

「これでだめならホームレスかも・・・」という状態からのスタートは、
たとえるなら、荒波にひとりで手漕ぎボートで漕ぎ出したような、先行きの
見えない不安いっぱいの船出でした。

それから約1ヶ月、今の自分にできることは何か?

どうすれば誰かの役にたてるのか?

それをどういう形で提供すればいいのかを必死で考え、本を読みまくり、
ネットを調べ続けました。


頭からケムリを出しながらたどりついたのが、経営者や営業責任者を
対象にした営業チーム強化専門のコンサルタントという仕事でした。

わたしがリクルートで徹底的に学んだことで営業強化の根本ともいうべき

「チーム運用のノウハウ」が、世間ではほとんど伝えられていないということがはっきりとわかったのです。

「これは、やるしかない!」

驚いたことに、方針が決まるとすぐに会社を経営している友人が
コンサルティングを依頼してくれました。

続いて、リクルートの先輩や仲間が企業を紹介してくれました。

その後もクライアントがクライアントを紹介してくれたりして、
いつの間にか途切れることなく依頼がくる状態になっていました。

さらに独立から3年たったころには、仲間のコンサルタントのみなさんが
後押しをしてくれたおかげで自分の著書を出すことができて、
本を読んでいただいた人たちからも依頼がくるようになりました。

思えば、たくさんの出会いに恵まれて、ここまでやってくることが
できたんだなあと、あらためて感じます。

それを考えると、1年間無収入になってしまったことも「早く独立しろ」
という天の声だったのかもしれません。

これまでの8年間で、セミナーや研修に参加していただいた企業は
2000社以上、1年以上の長期で個別コンサルティングを受けていただいた
企業も30社を超えました。

とくに個別コンサルティングを受けていただいたクライアント企業の
多くは、依頼をいただいた当初の苦しい状態から完全に脱して順調に
業績を伸ばしています。

50代も半ばを過ぎて、これまでつみ重ねてきた自分の経験が、
多少なりとも誰かの役にたてているということは、とてもうれしく
ありがたいことです。

いっしょに営業改革に取り組んできたクライアント企業のみなさんとの
エピソードは、一社一社がドラマのように思い出されます。

そんなクライアント企業のみなさんとのエピソードも、今後、この
メルマガでも紹介していきたいと考えています。

丸8年がたったとはいえ、まだまだ道なかば、課題もたくさんありますが、
これからもますます楽しみながらビジネスを進化させていきたいと思います。

引き続き、おつきあいよろしくお願いします

2016年1月8日金曜日

新年のごあいさつ


新年あけましておめでとうございます。
営業チーム強化コンサルタントの庄司充です

今年は元旦から晴天にめぐまれて春のような陽気でしたね。
わたしは3が日、実家のある仙台に帰省していたのですが、
東北とは思えないほど暖かく、上着を脱いで街を歩いていた
ほどでした。

こんなウキっとした気持ちで1年過ごせるといいですね。


さて、わたしが講師を務める日本経営合理化協会主催で全3講の
「営業マネジャー養成講座」が昨年12月からスタートしました。

東北や北陸から九州まで、全国から経営者や営業幹部の方々が
ご参加いただき大いに盛り上がりました。

日本の会社の営業リーダーというのは多くの場合、自身が営業マン
として売れたという実績を評価されて昇格するのですが、リーダー
として何をすればいいのかについては教わらないケースがほとんど
です。

教わらないというよりは、会社自体にノウハウがないために教えられない
というのが実態なのでしょう。

だから、講義のはじめに「リーダーの仕事を一言でいうと何だと
思いますか?」という質問をすると、その時点で早くもみなさん
「う~ん」とうなってしまいます。


リーダーの仕事は「チームを動かして、目標を達成すること」です。


しかし、「自分が売る」ということと「チームを動かす」ということは、
まったく別のスキルが必要です。

それがわからないために、自分が売れていた人ほどリーダーになった
とたんに


「なんでみんなおれみたいにできないんだろう・・・」


 と、頭をかかえてしまうのです。

だから、講義のなかでリーダーの役割と仕事の進め方を体系的にまとめた
内容をお伝えしていくと、「あっ、そうだったのか!」とばかりに、みなさん
みるみる目を輝かせはじめてグイグイこちらに熱い視線を送ってくれるように
なるのです。

この瞬間がセミナーや講座のだいごみかもしれません。

懇親会の場でも、みなさん次から次へ質問をされてきてその熱心さに
わたしのほうが驚いてしまいました。

チームをイキイキと動かすために必要なのが「マネジメントの技術」です。

マネジメントはチームが力を合わせるための技術です。

リーダーがマネジメントの技術を身につけて指揮をとればチームは確実に
変えられます。

クライアント企業のみなさんがイキイキと変化していくすがたを見るのは
コンサルタント冥利につきます。

今年も1社でも多くの企業に「強いチームのつくり方」をお伝えできるよう
全力をつくします。

おつきあいよろしくお願いします。