経営者や営業リーダー向けのセミナーで
リクルート流3H方式 「ほめる はげます 話し合う」(頭文字のHが3つで3H)
という話をします。
要するに
部下の結果を責めるよりも、できたことを褒めよう
ということです。
すると、これに違和感を持つリーダーが必ずいるんですね。
「庄司さん、そうは言うけれど、どうしようもない失敗を繰り返すような部下がいるんですよ。
そういうやつはどうすればいいんですか?」
という質問をする人が必ずいます。
なぜ、こういう質問をする人が多いのか不思議に思っていました。
先日、333営業塾代表世話人の森川さんと話をしていて、その理由が分かりました。
森川さんが「でも、こんなタイプのダメなやつもいるけど、そういうのはどうするの?」
としつこく聞いてくるので、分かったんです。
そのようなリーダーは、そもそも大前提が違っていたのです。
●リーダーの使命は何なのか?
結論を言ってしまうと、リーダーの使命を何と捉えるかに、違いがあったのです。
どんな仕事でもチーム(組織)でやるからには、リーダーの使命はただ1つ。
それは、
力を合わせてチームの目標を達成すること
です。
ところが、わたしのいうことに違和感を持つリーダーは、この大前提を忘れてしまっているか、
はじめから意識していないようなんですね。
●8割を何とかするのがマネジメント
何度言っても同じ失敗をくり返すような人がほんとうにいたとして、
そこにパワーをかけるのがリーダーの仕事ではありません。
だって、その人をなんとかすることでチームの目標は達成できるでしょうか?
プロ野球やサッカーの監督のことを考えてみてください。
彼らの仕事は、今いる選手をやりくりしながら、最大限の力を引き出してチームを勝たせることです。
埋もれている選手の才能を引き出して戦力化しようとすることはあっても、
ダメな選手につきっきりで、せめて並の選手レベルにしようとするなんてことはないですよね。
あくまで、使命はチームの目標の達成。
部下の育成は、その使命を果たすための手段の一つです。
わたしの感覚では、
1.どんな環境でも自力で道をつくれる人が1割、
2.ある程度道をつくってあげれば力を発揮できる人が8割、
3.道があっても力を発揮できない人が1割
です。
これも営業マンが大勢いればの話で、わたしは5人から10人前後の営業チームを
相手にすることが多いので、その中では1も3もほとんど出会うことはありません。
ほとんどが2です。
わたしがお話ししているのは、チームの目標を達成するために
8割に該当する人たちを、いかに高いレベルで戦力化するか
ということなのです。
そのためには、結果を責めるのではなく、途中でできたことをほめながら次の課題に
チャレンジさせるというのは非常に有効な手法なのです。
前述の3H方式「ほめる はげます 話し合う」はその手法を象徴化した言葉です。
●欠点に目が向くのは?
ところが多くのリーダーは営業活動のほとんどを個人まかせにして結果だけを
見ているために、おのずと結果の悪い人にばかり目が行きます。
1の人に対しては何もすることがないし、2に対しても明確な指導方法がないので
必然的に3の人のことばかりが気になります。
それをくり返しているうちに、あたかもチームの目標がいかないのは
「3のやつのせいだ」みたいな思考に陥ってしまうようなのです。
はっきり言います。
チームの目標が達成できないのは「ダメなやつがいるから」ではありません。
2の人たちを高いレベルで戦力化する仕組みと技術がないからです。
その仕組みと技術のことを「マネジメント」と言います。
わたしは、マネジメントは「力を合わせるための技術」だと言っています。
リクルートの営業が強いのは、力を合わせるための技術によって、8割の人たちが
次々と戦力化されるからです。
リーダーが、指揮者として、力を合わせるための技術を身につけることで
チームは劇的に変化していきます。
リーダーの使命は、ダメな人をなんとかすることではなく、
全員で力を合わせて目標を達成するための指揮をとることです。
リーダーのあなたが変われば チームは変わります。
これからもこの紙面を借りて、そんな話をしていこうと思います。
楽しみにしていていください。