2014年6月30日月曜日

リクルート式:社内の空気の変化と売上アップ



営業チーム強化コンサルタントの庄司充です

確たる信念もなくへらへらと生きてきたわたしではありますが、仕事に関してはひとつだけポリシーらしきものがあります。

それは"楽しくやる"いうことです。

とりたてて意識をしていたわけではないのですが、前職のときもなぜか他チームのメンバーから「庄司さんのプロジェクトって楽しそうですね~」と、しょっちゅう言われていたし、今でもクライアントの社員の方が「庄司さんに教わるようになってから仕事が楽しくなってきました!」と言ってくれます。

これはわたしにとっては最高のほめ言葉で、ものすごくうれしいことです。

そう言われてあらためて考えてみると、わたしはものすごく小心者で人から押しつけられる緊張感がひどく苦手なのだと思います。

子どものころから人を恫喝するような怖い人がいると、頭がまっ白になってしまって身動きが取れなくなってしまいます。

だから、星野監督のような怖い監督のもとでは働きたくないし、関西弁で参加者を罵倒しまくるおばはんのセミナーには出たくないし、北●鮮では絶対に幹部になれない自信があります。

わたしが楽しく仕事をすることを心がけているのは、そのほうが力を出せる人が多いと思うからです。
適度な緊張感は必要ですが、わたしのようなヘタレの人間にとって強すぎる緊張感はかえってその能力を下げてしまいます。
リラックスして「おもしろそう」「楽しそう」「やってみたい」で動いたほうがいい結果につながると思っているし、実際にそうやって実績を上げてきました。

よく、オリンピックの代表選手なんかが「楽しんできます」というようなコメントをすると「遊びじゃないんだ」と言って批判する人がいますが、あれは「緊張して力を発揮できないようなことがないようにリラックスして望みたい」という意味で言っているのでしょう。わたしにはものすごくよくわかります。

そんなわたしにとって、はじめて入った会社がリクルートだったことはほんとうにラッキーだったと思っています。

わたしが入社した80年代は、軍隊のような強制力で人を動かす会社がまだあたりまえのように存在していましたが、リクルートには人を恫喝して動かすような雰囲気はいっさいありませんでした。

ほかの営業会社が体育会系の部活動だとすれば、リクルートは文系のクラブ活動みたいな感じで、真剣なんだけど上司や先輩が絶対ではなく、新人でも意見をちゃんと聞いてもらえてもらえるし、まれに先輩や上司がまちがっていれば「すまんすまん、お前が正しかったわ」と、言ってくれるような社風でした。

リクルートのように急成長を続けている会社がそういう社風だったことは、自分の考えがまちがっていないという大きな自信になっています。

では、なぜリクルートは強制力を使わなくても急成長することができたのか?
それには3つの要素があると思います。

ひとつめは
・会社やチームで目指すものが明確に共有されていたこと

ふたつめは
・それを達成するための役割分担が明確にされていたこと

みっつめは
・活躍した人をみんなが称賛する空気があったこと

です。

たとえば、「本社ビルの前の通りは、 リクルート通りと言われるぐらいの会社になろう!」そのために「まず今年度は、全社一丸で1000億を達成しよう!」といったものすごくわかりやすくて盛り上がるビジョンがいつも掲げられていて、営業所の新人営業マンにいたるまで社員全員にしっかりと共有されていました。

掲げるだけでなく、つねに全社、営業所、個人の進捗がわかるようになっていて、ワッショイワッショイやりながら数年で次々とビジョンを実現させていく、活躍した人は新人であっても全社レベルで表彰してもらえる、そんな感じでした。

上記の3つの要素がそろっていると、メンバーには自然にチームに対する貢献意欲と責任感が生まれます。貢献意欲と責任感が生まれれば、人は自ら動くことができるのです。

逆に、ぜんぜんやりがいを感じられなくて、ほとんどの社員が生活のためにいやいや働いているような会社では社員を動かすために「強制力」が必要になってしまいます。

リーダーの仕事は社員が納得して働き、力を十二分に発揮できる環境をつくることです。

それができるのはリーダーしかいないのです。
わたしの仕事はリーダーに環境のつくり方を教えることです。

現に、コンサルティングが進んでいくと、わたしのクライアントの社長さんたちはほとんど怒らなくなります。

会話が明るくなり、冗談が増え、社内の雰囲気が見ちがえるようによくなります。
そんな社内の空気の変化と比例して売上もアップしていくのです。

2014年6月23日月曜日

マーケティングのキーは「誰に」「何を」「なぜ」を明確に!



「ありがとうございます! ほんとうに助かりました。」
「いえいえ、よかったですねえ。」

待合室で待っている間、奥の診療室からはこんな会話が何度も聞こえてきました。
吉見さんの事例でおなじみの、亀まんねん「いとう歯科」での話です。

先日、差し歯をつくってもらうために、はじめておじゃましてみたのです。
いとう歯科は、もともとわたしが住んでいたところからわりと近所にあったのですが、線路の反対側だったこともあって吉見さんのお話を聞くまでは正直まったく知りませんでした。

西荻窪の駅を出て、約7,8分歩いたところを一本脇道に入ると車の通りのほとんどない閑静な住宅街が広がります。
いとう歯科は、まさにその一角にありました。

ちょっとなつかしい感じの玄関を入るとほのかにやさしいアロマの香り、待合室には先客が3人、みなさん70代から80代ぐらいのご年配の方々がいらっしゃいました。

建物自体は古いけど、きれいに整頓された室内では木目調のスピーカーから落ちついたクラシック音楽が心地よい音量で流れています。
年配の方々がすごしやすいようにエアコンも弱めの設定です。

いすに腰をおろすと、壁には伊藤先生手づくりの絵手紙や患者さんの喜びの声があちらこちらに張られています。
そして机の上には・・・ 出ました!水槽に入った亀くんと、「亀がやってきたものがたり」を写真と絵と文章でつづった冊子。

冊子に載っている当時の医院の写真を見ながらおばあさんがおじいさんに楽しそうに話しかけています。
「ほらほら、昔はこんな感じだったわよねえ。今は若先生がやってらっしゃるのよ。」

その後も、ほどよい感じで途切れることなく患者さんがやってきます。
すべて年配の方です。

なかには「10年ぶりなんですよ。最近スマホを見たら若先生が部分入れ歯をおやりになってるって書いてあったんで」なんていうハイカラなおばあさんもいらっしゃいます。

ここに来るとわたしなんかは超ヤングです。

想像はしていましたが、吉見さんのねらいが見事に具現化しているのを間近で見ることができて、思わず「お~っ」と心の中でうなってしまいました。

そのときふと頭に浮かんだことがありました。

それは

「もし、いとう歯科がなかったら、ここにいる皆さんはどこの歯医者さんに行っていたのだろう。」

ということです。

もちろん西荻窪にはたくさんの歯医者さんがあります。
でも、きっとどこに行ってもほかの歯医者さんでは近代的すぎて機能的すぎて、ここに来ているみなさんは若干の居心地の悪さを感じていたのではないだろうか、いとう歯科に来ているご年配の患者さんたちにとって、これほど安心して落ち着ける歯医者さんはなかったのではないだろうか、そんなふうに感じてしまうのです。

それぐらい客層とそれを迎える医院のつくりがみごとにマッチしているのです。

マーケティングを成功させるのにもっとも重要なことは、儲けるために策略的に心理学をつかうことではなく、想定したお客さんに喜んでもらうための「心づかい」や「思いやり」なのかもしれません。

いとう歯科は、高齢者の方々への配慮であふれていました。

きっかけは、駅前に新しい歯科医がどんどんできて患者さんがへってしまったことだと聞いています。
そのころは、どこにでもある「誰でも なんでも いらっしゃい」の歯医者さんだったそうで、3代目の伊藤先生が継ぐころには、特徴のない古さだけが目立つ歯医者になってしまっていました。
今の元気で幸せそうな伊藤先生からは姿からは想像できませんが、当時はそうとう悩んでいたそうです。

それを
「高齢者向け」「保険がきく」「入れ歯専門」にしぼったことで、静かな環境も、昔からやっていることも、ちょっと古めの室内もすべてがプラスに作用して近所のご年配の方々にとってかけがえのない唯一無二の歯医者さんになったのです。

「自分にできること」と「必要としてくれている人の想定」と、その「伝え方」がぴったり合えば、ビジネスはこんなにすばらしい結果を生むんだということを、あらためて実感することができました。

今回は、マネジメントの話からずれてしまいましたが、いとう歯科で起こっていたことをぜひ伝えたくなって書きました。

マーケティングのキーである「誰に」「何を」「なぜ」を明確にしてくれることでは、吉見さん、森川さんは日本でもトップクラスです。

売上が伸びずに悩んでいる小規模事業者や店舗経営者の方は、ぜひ相談されてみてはいかがでしょうか。

追記
帰り際に伊藤先生が「じつは、今後女房にも手伝ってもらうことにしたのですが、どんなふうにマネジメントしたらいいか今度相談させてください。」とおっしゃってくださいました。
だけど伊藤先生、奥様のマネジメントってのはもっとも難易度の高いスキルでっせ~(笑)

追記の追記
伊藤先生につくってもらった差し歯ができました。
以前、よその歯医者さんでつくってもらったのとはぜんぜんちがうカタチにびっくり、
さすがオリジナル!おかげで違和感なく食事もばっちりです。ありがとうございました。

2014年6月16日月曜日

「ミーティングでは全員意見を言うのが鉄則」・・は心配??リクルートの解決法


前回、「ミーティングでは全員意見を言うのが鉄則です」ということを書きましたが、実は開米さんとひとしきりその話題で盛り上がった後、気になる話が出てきたのです。

開米:あ、庄司さん。この「ミーティングでは全員意見を言う」鉄則って、ちょっと心配な面もありますね。

庄司:心配というと何がですか?

開米:たとえば本心とは違うことを無理矢理言わせてしまうようなことになる可能性はありませんか?

庄司:ああ、必ず何か言わせますからね。あり得ない、とは言えないです。

開米:人間って結構、「言動が一貫している人間だと思わせたい、自分でもそう思いたい」ところがあって、無理矢理言わされたこと、あるいは軽い気持ちで口にしたことであっても、一度他人の前で言ってしまうとそれを後から否定しにくい性質があるんです。で、これをですね・・・悪用することもできます。

庄司:え、悪用ですか・・・

開米:たとえば営業で言うと、個人ごとに月の売上目標を決めたりするじゃないですか。で、月初めに、気が進まないけどなんとなくみんなと同じに言わなきゃいけないような雰囲気があるから「今月の目標は3000万です!」とか言っちゃったとします。そうやって一度言っちゃうと、月末にそれを「やっぱり2000万に下げます」・・・なんてのはやりにくいわけです。自分でも言い出しにくいし、たとえ言い出しても今度は上司から「お前、自分で建てた目標だろ」とか責められるわけですよ。実際には「空気」に強いられたものであっても・・・

庄司:ああ、いわゆるブラック企業でありそうな典型的なパターンの1つですねそれは。

開米:悪用とまでは言えませんけれど、たとえば今多くの会社で導入されている目標管理制度について、その点の不満や問題点の指摘がよくされてますね

庄司:なるほど・・・ そういえば、リクルートのミーティングというかチームマネジメントでは、そういう問題を起こさないような運用をしてましたね。

開米:たとえばどういうところでしょう?

庄司:リクルートという会社のいいところは、とにかく積極的であることや挑戦することをよしとする文化があることなんですね。黙っているよりトンチンカンであっても意見を言うことを評価するのと同じように、簡単な目標をかかげて達成する人よりも、高い目標を自ら掲げて積極的に挑戦しようとしている人を評価し応援します。多少無謀と思えるような目標であってもその目標設定を認めたということは、"リーダーや周りのメンバーも達成できるように全力でサポートするぞ"ということなんです。

だから、それをお前個人の責任だからお前が頑張れ、自分で言ったんだろ、死ぬ気で売ってこい、みたいに突き放すことはありません。できないメンバーがいたら、なにが悪いのか原因を探ったり、凹んだ分の売上を上げたりするのに他が協力するんです。じゃあ、なんでみんながそんなことをするかというと、自分がそうやって育てられてきたからなんですね。それがリクルートの文化です。

新規事業が次々に生まれるのも"言いだしっぺが自らやってみる、それを周りがサポートする"という文化のたまものだと思います。

たしかに、減点主義でやってきた企業やそこで育ってきた幹部社員が目標管理制度なんか導入してもこうはならないでしょうね。むしろ逆効果になる。

開米:なるほど! そのへんがぜんぜんちがうんですねえ。リクルートのような社風があれば確かに、この種の問題は起きないと思います。うまくやってるもんですねえ~!

庄司:こういうこと、今まで考えたことはなかったんですけどね。リクルートではこれが普通だったので、意識することもなくやってたことなんですが、そう考えるとハッキリ意味があったんですね。いや、私も勉強になりました。

開米:私もです! ありがとうございます!

というわけで今回も開米さんとの営業チーム話は終了です! 「ミーティングでは全員意見を言う」原則、安易に応用すると問題を起こす可能性もあるようですが、それをわきまえて運用すれば間違いなく良い効果をもたらしてくれます! ぜひ、参考にしてください!

2014年6月9日月曜日

会議に出たら黙ってちゃいけない、というのがリクルートの掟



営業コンサルタントの庄司です

最近、当メルマガでもおなじみの開米さんが始めたある連載がふと目にとまったんです。

それは、

会議もチームも飲み会も――うまくいくのは6人まで

というもので、「チーム」をうまく回していくためには人数は最大5,6人程度までなのではないか、という話です。実はこの話、私も経験的にまったく同感でして、「6人だとちょっとキビシイ。実質は5人までだろうな・・・」と思っております。面白そうなので開米さんと話してみました。

庄司:ということで私も5人までだと思いますよ

開米:それは何か理由ありますか?

庄司:すごーく単純に言うと、たとえば飲み屋で1つの話に集中できるのは5人ぐらいじゃないですか。6人以上になると2グループできて話題が分かれちゃいますよね。そんな気し
ません?

開米:それはそう思いますけど、理由はそれだけですか?

庄司:じゃもうちょっと真面目に言うとですね

開米:待ってました(笑)

庄司:たとえばリクルートでは、ミーティングの時に、「他人ごとにしている人を出さない」というのが鉄則なんです。

開米:他人ごとにしているかどうかはどうやって判断を?

庄司:一番分かりやすいのは、意見を言うことですね。会議に出たら黙ってちゃいけない、というのがリクルートの掟なんです。

開米:全員参加! ですね。それを言うだけで実践できてない会社も多いと思いますけど・・・

庄司:そうなんですよ。だからリクルートではそれを実践するためリーダーがすごく気を配っていました。たとえば新人とか、遠慮しちゃいそうな人には必ず「お前どう思う?」と話題を振って発言を促すんです。

開米:「庄司さんと同じです」でもいいんですか

庄司:そういうときは、「同じでもいいからお前の言い方で言ってみな」と、そう言いますね。他の人と理由も結論も同じでもいいから必ず自分の言葉で意見を言うのが鉄則なんです。

開米:なるほど、場に参加するためのハードルを引き下げてるわけですね。たとえば先輩がAをやろうって言ったときに、それと違う結論、たとえば「Bをやりましょう」と言うのはすごくハードルが高いですよね

庄司:そうなんですよ、こんなこと言ってもいいのかなって空気読めないうちは難しいですよね

開米:たぶん1番ハードルが低いのが「結論も理由も同じ」で、ただしそれを自分の言葉で言う、というもので、2番目が同じ結論に違う理由をつけて言うこと、じゃないですか?

庄司:そうそう、そんな感じです。

開米:だから最初は一番簡単なところでいいと。それでも引っ込み思案な人だとおそるおそるでしょうけど、言ったらそれを褒めるんでしょうね?

庄司:そうです!

開米:褒められると、ああ、チームに受け入れられてる、という安心感が出てくるでしょうね。それでだんだん、今度は自分の独自の意見が言えるようになってくる、と・・・

庄司:そうなんですよ。だいたい、何度かミーティングに出てるとみんなほんと遠慮無く自分の意見言いますからね。あ、ここは右にならえしなくていいんだ、と。先輩が白と言ったらカラスも白なんだ、みたいな会社も中にはあるみたいですけど、リクルートはそうじゃないというのがだんだん分かってくるんです。

開米:先輩が白と言ったらカラスも白ですか。僕は絶対つとまりませんねそういう会社じゃ(笑)

庄司:開米さんはきっと3日で逃げるでしょ、そういう会社からは。

開米:間違いない!

庄司:まあ、そうやって自由に意見言えるようになると、とんちんかんな意見も出てくるんですけどね。でも、新人さんが変な意見言っても絶対頭ごなしに否定はしません。

開米:そういうときはどうするんですか?

庄司:とんちんかんな意見というのは、だいたいこちらの意図が通じてなかったときに起きるので、改めて意図を説明し直して考えてもらうという場合が多いですね。とにかく馬鹿にされる、ほっとかれる、無視されるということが絶対に無いように・・・

開米:お笑い的感覚で言うと・・・・すべっても司会が拾ってくれるから安心してネタをかませる、みたいなものですか

庄司:そうそう、それですよ。ぜんぶ受け止めてやるからドーンと来い! という感覚です。

開米:なるほど、そういうチームだったら、働きやすいでしょうねえ・・・・

と、開米さんにはそう言ってもらえたのですが、実はその後、「必ず自分の言葉で意見を言わせる」というミーティング運営原則には、注意して使わなければいけない面もあることに気がつきました。次回はその話です。

2014年6月2日月曜日

かんちがいリーダーになっていませんか?



営業チーム強化コンサルタントの庄司充です。

TV番組の制作会社の人から聞いた話ですが、タレントの中には番組スタッフに対してやたらとえらそうにふるまう人がいるそうです。

元天然素材メンバーのお笑い芸人Hや、先生役で有名な役者のTなんかは特にひどかったそうで、はじめに現場にいちゃもんをつけて不機嫌な態度をとり、困ったスタッフが自分の機嫌をうかがうようになってから仕事をはじめるのだそうです。

制作会社の人は、「あれは自信がないタレントがやる常套手段なんですよ。」と言っていました。

もしかすると、本人の器以上に注目を浴びてしまって、そのプレッシャーに負けないために必死で虚勢をはっているのかもしれません。

う~ん、これは多かれ少なかれ、思いあたるふしがありますよね~

人は臆病な生き物ですから、プレッシャーの強い場面や不安な状況のなかで自分を大きく見せようとしてしまうのは自己防衛の手段としてある程度仕方ないことなのかもしれません。

ただひとつ、絶対にやってほしくないことがあります。

それは、自分がリーダーになったとき、メンバーに対してなめられまいと虚勢をはってしまうことです。

リーダーになったとたんに、責任感とプレッシャーからメンバーから尊敬されるようなすごい人でなければならないと思ってしまい、とつぜんキャラクターが変わってしまう人がいます。

セミナーや研修で「わたしよりベテランで年上の部下がいるのですが、どのように接したらいいでしょうか?」という質問をしてくる人なんかは、きっとそんなふうに思ってしまっているのではないでしょうか。

そんなときわたしは「むりに上に立とうとする必要はありません。」と答えています。

ここで、リーダーの役割について確認しておきましょう。

リーダーの役割は何か?

それは、

「力を合わせて チームの目標を達成すること」

そのために指揮をとることがリーダーの仕事です。

つまり、わたしがお伝えしているリーダーというのは、「いちばん偉い人」でも「いちばんできる人」でもありません。「指揮をとる」という機能を果たす人のことなのです。

では、メンバーが指揮者であるリーダーに求めることは何でしょう?

それは、

「ひとりひとりの力を引き出して チームを最高の状態にしてくれること」

です。

たとえば、SMAPのエースはキムタクでグループ内での存在感もダントツですが、リーダーはキムタクではなく、一見おちゃらけたキャラクターの中居です。
しかし、SMAPが国民的アイドルといわれるまでになれたのは、中居のリーダーとしての働きが大きかったようなのです。

これは聞いた話ですが、SMAPがまだ売れ出したばかりのころ、人気面で出遅れた感が強かった草薙剛を「彼の人気が出ないとSMAPはダメになるんです!」といってTV局に必死で売り込んでいたのが中居だそうです。

メンバーは、チームのために「献身的に仕事をする人」を信頼し、「自分を活かしてくれる人」についてくるのです。

よく、新しい部署に責任者として着任すると、まだ現場のことをよくわかってもいないのにトンチンカンな指示を押しつけてくる人がいます。おそらく自分の存在感や威厳を示そうとしているのでしょうが、現場にしてみれば迷惑以外の何ものでもありません。

なれない現場に行ったときにリーダーがまずやるべきことは、"現場のじゃまをしないこと"です。

そのうえで、一段高い視点(上から目線ではありませんよ)で現場の状況をしっかり把握して、必要なところは直していく、という過程が必要です。

リーダーの威厳は、権威をふりかざすことではなく「誰よりも高い視点でチームのことを考えている」その姿勢によって示されるのです。

あなたがリーダーの立場になったとき、自分の行動はチームの目標を達成するために考えたことなのか、それとも自分の存在感を示すためにやってしまっていることなのか、もう一度心の中を確認して、現場にとって迷惑なだけのかんちがいリーダーにならないように気をつけましょう。