2014年12月22日月曜日

ベストセレクション2014 その3




営業コンサルタントの庄司です

今月は今年1年間の記事のなかから、わたしが特にお伝えしたい内容のものをピックアップしてお届けします。(記事は若干の修正を加えています)



では、ベストセレクション2014 その3 を どうぞ!




●お金よりもうれしいもの

「リクルートのように、営業マンのモチベーションを上げるにはどうしたらいいでしょうか?」



よく聞かれる質問です。



「やっぱりインセンティブをたくさん出すことでしょうか?」



そう聞く人も少なくありません。



そんなときわたしは



「はっきり言ってお金だけでやる気は出ません。出たとしても一時的なものにすぎません。」



と答えます。



実際、リクルートの営業マンはびっくりするぐらいよく働きます。



自他ともに認める「なまけもの」のわたしですら、リクルートにいるときはものすごく働きました。

けっして、鬼のような上司に脅されて働いていたわけではありません。



「なんだかわかんないけど、気がついたらめちゃくちゃ動いていた」 というのが一番しっくりくる表現かもしれません。



仕事を楽しんでいたというのともちょっとちがう気がします。

そんな余裕はありません。

渦中にいるときは、もうしんどくて一刻も早く逃げ出したいくらいでした。



では、いったいなぜそんな思いまでしてリクルートの社員はよく働くのか?



複合的な要素があるので一概に「これ」というのはむずかしいと思いますが、ヒントのひとつになりそうなものに「表彰状」があります。



わたしがいた部署では、期が終わると目標達成会という打ち上げパーティーが行われ、そこでリーダーからがんばった人に表彰状が贈られるのが習慣でした。



この表彰状がただものではないのです。



文章はすべてリーダーが自分で考えます。

内容は、表彰される人がいかに目標を達成するためにがんばったか、どうやってピンチを乗り越えたかといったエピソードはもちろん、この期間にどれだけ成長したかといった話や、あえて成長する前がいかにひどかったかなど、その人のキャラクターをふまえた話を笑いの要素も加えながら作っていきます。



ひとりひとりていねいに書いていくので、かなりの手間と時間がかかります。

それも通常業務が終わってからつくるので、作業が深夜におよぶこともあります。



メンバーに対する「思い」がなければできる作業ではありません。



ちなみに先日、わたしのクライアントさんにも目標達成会で表彰状をつくって渡すことを勧めてみました。



このクライアントは日本でも有数の大手企業で、もともとまじめで固い社風です。

とくに、わたしが担当したプロジェクトチームは、経験の浅い人と伸び悩んでいる人を中心に集められたチームで、スタート当初は営業会議で発言を求めても、ほぼ全員がうつむいて小さな声でボソボソしゃべるような状態でした。



しかし、半年かけてチームで力を合わせるマネジメント手法を身につけたことによって、リーダーとメンバーの関係がどんどんよくなっていき、じょじょに笑いも出るようになり、3ヶ月もすると見ちがえるように積極的な発言が飛び交うようになり、半年後の売り上げは目標の4倍を達成するまでに成長したのです。



これだけ劇的に変化したプロジェクトチームの目標達成会であれば表彰状もいけるのではと考えての提案でした。



その結果は?



わたしの想像をはるかに上回るものでした。



表彰状の内容については、あえて細かい指示を出さずにリーダーたちにおまかせしたのですがこれが素晴らしかった!



おそらくこんな表彰状は書いたことがないのはもちろん、自分がもらったこともないはずなのに、リーダーが感じた営業マンそれぞれの半年間の成長が、象徴的なエピソードとともに語られていて、しかもしっかり笑いもとれる内容になっていたのです。



そうとう時間がかかったことは容易に想像ができました。

わたしが代読して営業マンに表彰状を渡す役目だったのですが、はじめて表彰状をもらった営業マンが思わず口にした言葉がとても印象的でした。



「こんなにたくさん書いてくれたんですか・・・」



リーダーはわたしに言いました



「はじめて、営業マンの成長を自分のことのように感じました。」



ここに答えがあります。



多くの人は、お金をもらうことよりも「達成感」を感じたいのです。



達成感を感じられる環境のなかで仕事をしたいのです。



達成感を感じられる環境というのは



・ひとつの目標を仲間と力を合わせて追いかけている

・自分のがんばりを見ていてくれる人たちがいる

・自分の成長をいっしょに喜んでくれる人たちがいる



という環境のことです。



もし、あなたがリーダーの立場にいるのなら、どうすればメンバーのモチベーションを上げられるかではなく、メンバーが達成感を感じられる環境をつくるために何ができるかを考えてみてください。



2014年12月15日月曜日

ベストセレクション2014 その2




営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


今月は今年1年間の記事のなかから、わたしが特にお伝えしたい内容のものをピックアップしてお届けします。(記事は若干の修正を加えています)

では、ベストセレクション2014 その2 を どうぞ!




●営業は結果がすべて・・・か?




「営業は結果がすべてだ!」と、したり顔で言っている営業責任者の人をよく見かけますが、ほんとうにそうでしょうか?



なんだかかっこよく聞こえるセリフではありますが、わたしには「結果を見ることしかできないダメな上司です。」と自ら宣言しているように聞こえてしまいます。



結果がすべてというのと「結果しか見ていない」のは、まったく意味がちがうのです。



たとえばマラソンのコーチが、「2時間30分で走ってこい!」という指示だけ出して、トレーニング中に伴走もせずにゴール付近で待っていて、ランナーが目標を10分オーバーしたら「気合が足りない!結果がすべてだ!もっと死ぬ気で走れ!」と言っていたらどうでしょう?



そんなコーチ、一発でクビですよね。



これと同じことをやってしまっている人がいっぱいいるんですよ、営業の世界では。



結果を出したければ、必要なのは気合ではなく「プロセスをしっかり見る」ことです。



マラソンでいえば、スタートから10キロ地点までは1キロ○分○秒のラップをキープしてリズムをつかみ、10キロから20キロの地点までは○分○秒までペースアップする。25キロ地点の上り坂では○分のペースに抑えて体力を消耗しないようにする。等々



というように、プロセスごとに細かく計画を立てて、トレーニングで実際にやってみて、ほんとうに計画通りに実行できるかを検証する。



そうしたことをくり返すことで、20キロ地点までは計画通りに走れるが上り坂でペースが予定以上に落ちてしまうというようなことがわかり、上り坂でもペースを維持できる筋力をつける必要がある、というように課題を明確にした指導が可能になるわけです。



「結果を出せ」というだけだったら、誰でもできますよね。



「結果を出せ」と言われて結果が出るんだったら、そもそも上司なんかいりません。



多くの売れていない営業マンにとって必要なのは、



「どこでつまずいているのか?」を把握してくれて

「どうすれば結果が出せるのか?」をいっしょに考えてくれる人です。



結果が出ていない人は、気合が足りないんじゃなくて「途中の行動」がまちがっているのです。



今の市場は「行けば売れる」市場ではありません。

まちがった行動をしていると、いくらがんばっても売れません。

ひと昔前とはちがうのです。



わたしのクライアントの社長さんは、新規開拓がなかなかできなくて、せっかく採用した営業マンがすぐにやめてしまうといって嘆いていました。



さっそくコンサルティングを開始したところ、この会社は典型的な「売れ売れミーティング」をやっていましたので、即座に上記のマラソンの例のようにプロセスごとに計画を立てて、途中経過を把握して検証する手法を導入してミーティングのやり方を変えました。



このような方法を「プロセス・マネジメント」といいます。



結果よりも「途中の行動」に注目する方法です。



プロセスマネジメントでは、営業マンに対して「売ってこい!」ではなく「この通りの行動をしてきて、お客さんの反応をくわしく報告して」という指示になります。



むしろ、強引な売り込みはしないように指導をします。



こうして、「途中でどんな行動をすると どんな結果が出るのか?」という因果関係を調べながら、全員で売れるプロセスを見つけ出していきます。



結果は、ひと月も経たないうちに見ちがえるように新規の契約が取れるようになりました。

個人の力量にもほとんど左右されません。



そこの社長さんは「売れ売れ言ってるときはぜんぜん売れないのに、売りこむなと言うと売ってくるんですねえ。」と、自嘲気味に笑っていました。



そんなんです、営業は結果がすべてでなはく「プロセスがすべて」です。



あなたが営業の責任者なら




"途中の行動を把握して、売れるプロセスをつくって、結果を変えられる"



リーダーになってくださいね。

2014年12月9日火曜日

ベストセレクション2014 その1





営業コンサルタントの庄司です


早いもので、2014年も残すところあと3週間とちょっととなりました。

と、いうことで、今月は今年1年間の記事のなかから、わたしが特にお伝えしたい内容のものをピックアップしてお届けします。(記事は若干の修正を加えています)

題して「庄司メルマガ・ベストセレクション2014ちょこっと修正編」です。



では、どうぞ!



●こんなミーティングって・・・



わたしはクライアント企業のコンサルティングがスタートすると、まず営業ミーティングを見せてもらいます。



ミーティングのやり方を見れば、マネジメントのレベルがわかるからです。



これまでの経験からいうと、残念ながらほとんどの会社がまったく意味のないミーティングをやっています。



たとえばこんな感じです。



上司「はい、じゃあそれぞれ先月の結果を報告してください。まずAから」



営業マンA「はい、残念ながら先月も目標達成することはできませんでした。」



上司「う~ん、まただめかあ。なんでいかないんだ?」



営業マンA「はい、先月は現状を打破するために、あらたに○○業界へのアプローチを強化したのですが、残念ながら思ったほどの反応がありませんでした。」



上司「それで、今月はどうなんだ?」



営業マン「正直言って、今月も引き続ききびしい状況です。」



上司「それで、どうするつもり?」



営業マン「はい、ただそうは言ってもやるしかないので、気合を入れなおしてさらに行動量を増やして目標必達でいきたいと思います。」



といったやりとりが数人の営業マンと行われ、言いわけのヘタな営業マンは餌食として怒鳴られたりします。



そして、最後に上司から



「とにかく、みんな気合を入れなおしてくれ。このままじゃほんとうに会社はきびしいんだからな!」



などと激がとばされ、みんなが深刻な顔で席を立つ。



こんなミーティングを毎月毎月くり返しています。



これ、どう思いますか?



こうやって文字に起こしてみるとよくわかりますよね。

いかりや長介じゃあないけど「だめだ、こりゃあ」ですよねえ。



では、このミーティングのどこがダメなのかわかりますか?



はい、そうですね



なにひとつ具体的な策について話されていないんです。

すべて抽象論、精神論で終わっているのです。



ちょっと見ていきましょう。



「アプローチを強化した」ってなんですか?



強化したっていうのは、トークやツールを変えたり新しく作ったりしたのか、それとも行動量を増やしたということなのか、もし行動量を増やしたという意味なら、今まで何件だったのを何件に増やしたのか?



「思ったほどの反応がなかった」と、言ってますが、思ったほどの反応ってどのくらいの数値を期待していたのでしょう?

それに対して実際はどのくらいで終わったのか?



「さらに行動量を増やす」って、どのくらいからどのくらいに増やすのか?増やすことでどんな結果を想定しているのか?



たったこれだけの会話の中ですら???がいっぱいなのです。



この上司と営業マンのやりとりに隠された本音は



営業マン「がんばってるんですけど、売れないんですよ。どうすれば売れるのか教えてくださいよ!」



上司「おれだってわかんないよ。だけどおまえらがやるしかないだろ、なんとかがんばれよ!」



と、言ってるわけです。



びっくりするほど多くの会社がこんなミーティングをやっています。

じつは、こうしたうわべだけのミーティングは、意味がないだけでなく参加者全員に無力感を感じさせてしまいます。



いっそのことみんなで飲みにでも行ったほうがよっぽどましです。



なぜ、こんなことになってしまうのか?



これは、すべて途中のプロセスを把握する仕組みがないために起こる現象なのです。



わたしはこのようなミーティングを「責任追及型」と呼んでいます。



前回お話ししたように「成長市場」の時代には、責任追及型のミーティングでもなんとかなりました。



行けば売れたからです。



しかし、複雑化した成熟市場では、もはや通用しないのです。



では、成熟市場ではどんなミーティングをすればいいのか?



成熟市場で必要なのは「問題解決型」のミーティングです。



プロセスを把握する仕組みをつくって、全員で検証しながらつねに改善策を立てて実行していく。



そういうミーティングをするために必要なのが、リーダーのマネジメントスキルなのです。



営業マンに激をとばすよりも、リーダーであるあなた自身のマネジメントスキルを身につけることが、ほんとうの問題解決につながるのです。



リーダーのあなたしだいで、チームは変えられるのです。

2014年12月1日月曜日

クライアントさんのスピーチ 2/2




営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


前回に続き、日本経営合理化協会主催のセミナーにゲストとして話をしてくださいましたわたしのクライアントで某通信大手企業のYさんのスピーチから抜粋してお送りしています。

前回の内容 http://sales-pro1.blogspot.jp/2014/11/blog-post_18.html

Yさんは、

・良い顧客の奪い合い

・会社に入る美味しいネタ情報の取り合い

・真面目な人が地道にがんばっても報われない

・若手が辞める

という負のスパイラルから、どのようにして抜け出したのでしょうか?



Q.コンサルティングがスタートしてはじめに取り組んだことはどんなことですか?



A.はい、庄司さんからはじめに言われたのは、「とにかく現場で起きていることを営業マンからよく聞くこと」でした。



あたりまえのことに感じると思いますが、そんなあたりまえのことすらやっていなかったんですね。結果だけ聞いて叱咤激励することしかしていなかった。

「なぜ、そうなったのか?どうすればもっとうまくいくのか?」については、まったく話をしていないという恐ろしい事実に気がつきました。(笑)



営業マンの話をよく聞くと、まだ結果には結びついていなくても彼らなりに工夫しているところが見えてくるんですね。たとえば、お客さんと話ができなくても今使っている設備を必ず確認してメモをしてきている人がいたり、お役立ち情報を自分で毎月作っている人がいたり。

そういう、小さな努力や工夫をしっかり取り上げてほめる。

その上で、他のメンバーとも共有して、チーム全体の成果に結びつけていく。



そんなことが、本来のリーダーの役割なんだと教わりました。



Q.どんな変化がありましたか?



A.営業マンとの信頼関係ができてきたことが何よりも大きいと思います。

とくに若手が元気になりましたね。動きが見ちがえるようによくなりました。



営業マンに現場で起きた"いいこと"を発表してもらう「ヒーローインタビュー」や、契約が取れた営業マンに「ありがとうメール」を送るようにしたことで、「見ててくれる」という安心感を持ってくれたのではないでしょうか。

今までは、「やれやれ」言うだけで、ほめたり感謝したりということを言葉にしていいなかったですね。

それにともなって、低迷していたチームの業績がものすごく上がって来ています。

  

もうひとつは、プロセスに焦点をあてて明確な目的を持つようにしたことだと思います。

今までは契約が取れたかどうかの最終結果しか見ていませんでしたが、今はプロセスで管理出来るので、途中経過について話ができるようになりました。

 

誰がどこのステップで躓いているか、データを見ればすぐにわかるので非常に有効なマネジメント方法です。

プロセスに分解すると、それぞれに弱いところがちがうことがわかり、各営業スタッフ毎にていねい、的確に指導していくことが重要なのだと理解できてきました。



たいていの会社は日報のような管理帳票があっても結果しか見てないから活用できていないケースが多いと思います。



答えは プロセスにあります。



また、チームで弱い部分と強い部分を協力して改善して行くことで、個人のスキルに依存しなくても結果が出せるノウハウが分って来たことは大きな収穫です。



あるチームでは朝、今日のステップまたは目的を明確に発表するようにしたりして意識付けすることで、今まではすぐに取れる案件の報告しか出してこなかったのが、現在進行中の案件の報告も出てくるようになり、可能性の高い案件に対しては事前にロープレをすることも定着してきました。



特にスキルの低い人へのその日の案件へのフォローが効果絶大で、契約数を大きく増やすことができたのです。



Q.今回の結果 目標の達成について 

コンサルティングを受ける前は、年間目標の達成は厳しいと予測していましたが、結果的に対前年125%で年間目標を達成することができました。

スタート時の4~6月は対前年90%だっとことを考えれば脅威的な変化で、当初の見込みよりも10億以上売り上げがアップした計算になります。



はじめは、コンサルフィがちょっと高いかなと思ったのですが(笑)まったく問題ありませんでした。

それどころか、庄司先生のコンサルティングは、契約が終了したあとも自分たちで売り上げを上げ続けられるノウハウを教えていただけるので、ほんとうにお薦めです。



我々と同じことで悩んでいる会社は山ほどあると思います。

わたしたちは、マネジメント次第でチームは変えられることを身をもって教わりました。

みなさんも、なんとか1年がんばってマネジメントのスキルを身につけて、今の悩みから抜け出せることを願っています。



今日はありがとうございました。

2014年11月18日火曜日

クライアントさんのスピーチ 1/2




営業コンサルタントの庄司です


先日、11月6日、日本経営合理化協会主催のセミナーに講師として登壇させていただきました。

去年に続き2度目の参加となった今回は、なんとわたしのクライアントのYさんが、ゲストスピーカーとして話をしてくださいました。

Yさんは、社名を聞けば誰でも知っている超大手企業の営業企画課長ですが「庄司先生に教わったことを、たくさんの人に伝えてゃー」と言って、わざわざ休みをとって名古屋から駆けつけてくれたのです。



その熱い内容に、100名近い参加者のみなさんの多くが共感していただいて、20冊ほど置いていたわたしの著書も完売してしまいました。



今回は、そのスピーチの内容を抜粋しておおくりします。



Q.どんな悩みをお持ちだったんですか?



A.はい、わたしたちの会社は図体はでかいのですが、社員がじょじょに高齢化してきて動きが鈍くなって新規開拓営業がむずかしくなってきていました。これでは競合他社にどんどん顧客を取られてしまいます。そんな状況を打開するために各エリアに20か所ほどの別働隊をつくったのです。

マネジャーやリーダークラスは本社からの出向、営業マンは現地で採用しました。



はじめは本社から実績のある社員を呼んできて2~3年は売り上げが上がっていたのですが、実はそれも顔なじみのお客様に販売していただけでした。



結局、新しい人に新規開拓のノウハウを教えられる人はおらず、現場では

良い顧客や会社に入る美味しいネタ情報の取り合い→真面目な人が地道にがんばっても報われない→ 若手が辞める

という悪循環にはまっていきました。

 

Q.これまでにも研修やコンサルティングを受けたことはありましたか?



A.はい、研修やコンサルティングはいろいろ受けましたが、すべて個人の営業スキルについてのものでした。

コンサルタントの先生が同行してくれて、いっしょに営業してくれるというスタイルです。

一時的には売り上げが上がるのですが、ノウハウが組織で共有されることはなく、新人が育たず、売れない人はいつまでたっても売れないという状況は変わりませんでした。

そんな状況でも、わたしやマネジャーたちは「とにかく件数を回れ!」と叱咤することしかできませんでした。



しだいに上司と部下の信頼関係も崩れてしまい、喫茶店でたむろしたり、家で寝てたというような酷い営業マンも出てくるようになってしまいました。



今までお付き合いの有った先生では限界があるのではと感じ始めていました。

そろそろ組織として根本的な解決策を打たないと大変なことになるのではないかという思いが強くなっていきました。



そんなときに庄司先生のことを知ったのです。



Q.最初の印象はどうでしたか?



A.はじめてお会いしたときに、うちのカラーとはまったくちがったノリと雰囲気にものすごく期待が高まりました。もちろん、まだ半信半疑でしたけど(笑)

「営業はチーム戦で」という言葉に、ものすごく興味を惹かれました。それがどういうことかはまだ分かりませんでしたが、何か得も知れぬ期待感を感じたのです。 



最初のマネージャー研修で

「みなさんのやってることは30年前のやり方ですよ。」

と言われたときは、まさに頭をハンマーで殴られたような衝撃でした。



問題は営業マンではなく、マネジメントのやり方にあるとはっきり感じました。

我々は大企業での長い生活の中で、上の人が黒と言えば黒という習慣になってしまっていた、理由が分からなくても従順にやる、それが当たりまえになっていたのです。



ところが、中途で入ってくる営業マンたちは、習慣も経験もまったくちがう人たちです。

そんな人たちに対して、頭ごなしの命令は通用しないということを思い知らされました。




そんな我々に、先生がまず教えてくれたのは

「何かをやるときは、目的をはっきりと伝えること」でした。

リーダーの基本スタンスは「ほめる 励ます 話し合う」だと教えられたときも、理由を言わずに急にほめたので営業マンにかなり気持ち悪がられたりしました(笑)



教えていただくことに強く共感するものの、今迄の習慣や考え方を変えるのはものすごく苦労しました。

定例ミーティングを開催するだけでもすごい反発があって、その説得だけでも2ヶ月もかかかってしまいました。

力のあるベテラン営業マンが裏で小ボスとして君臨していて、マネージャーが気を使っているような状態だったのです。



そんな状況をなんとかするために日曜 朝の5時等早くから3時間、質問や状況を庄司先生に真剣にメールでやり取りしました。非常に長文のやり取りに対応頂き感謝しています。先生の休日をかなりつぶしてしまったと思います(笑)



次号に続く

2014年11月11日火曜日

大企業のリーダーへ



営業チーム強化コンサルタントの庄司充です

今回は、以前にわたしがクライアント企業のリーダーたちに送ったメールの内容をお送りします。



この会社は、誰でも知っている大手企業ですが、多くのリーダーが、新規開拓のために中途採用で入った社員たちとの関係がうまくいかずに悩んでいました。



そこには、大企業病ともいえる原因があったのです。



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○○株式会社 営業リーダーのみなさんへ



メンバーをイキイキと動かすためにもっとも大事なことは

「何のためにやるのか?」

つまり、目的をしっかりと伝えることです。
たとえば、コピーをたのむときでも、ただ「これ、コピー取っておいて」と言うのと
「これ、大事なお客さんへのプレゼン資料なんだけどコピーたのむね。」と伝えるでは、たのまれた人の行動に大きな差が出ます。




何のためにコピーを取るのか?がわかっていれば、

「あのお客さんが決まれば今月のチーム目標が達成できるはずだ。よーし、会社の印象

をよくするために、端をきっちりそろえて、ホチキスも曲がらないようにしっかり止めよう」

と、主体的な行動が取れるようになり、工夫の余地も生まれます。

主体的な行動は、必ず「いい仕事」に結びつきます。

その仕事に対して、

「すごくきれいにコピーしてくれてたね。おかげで、お客さんの評価も上々だったよ。きっと契約になると思うよ。助かった、ほんとにありがとう。」

というように、しっかりと結果の報告と感謝の気持ちを表せば、メンバーとのあいだに連帯感と信頼感も生まれます。

もしも、「これ、コピー取っておいて」としか言わなかったら、相手は「なんだよ、めんどくさいなあ。コピーぐらい自分でとればいいのに」としか思わなかったかもしれません。

コピーひとつとっても、「何のためにやるのか?」をしっかり伝えるだけで、これだけ結果に差が出るのです。

しかし、組織で仕事をしている多くの人がこんなあたりまえのことを忘れてしまいます。

それはなぜか?

組織では、いちいち「何のためにやるか?」なんて説明しなくても、上司が「やれ」と言えば、部下はやらざるを得ないからです。

組織が大きくなればなるほど、そこには厳密なヒエラルキーが存在して、役職による上下関係は強くなります。

会社が決めた上下関係があれば、とりあえず人を動かすことはできてしまうのです。

このことが、本来、人を動かすために必要な「何のためにやるのか?」を説明するという作業を忘れさせてしまいます。


もちろん、上司に言われれば部下は動くでしょう。

だけど、

「意味もわからずに仕方なく動く」のと、「目的をしっかり理解して主体的に動く」のでは、仕事の質に雲泥の差が出るのはあたりまえのことですよね。

優秀なリーダーは、チームで何かに取り組むとき、人を動かすときには、まず「何のためにやるのか?」を説明することに、ものすごいパワーをかけます。

事前に、説明の仕方や言い回しをしっかり考えて、メンバーが不安や疑問に思いそうなことをあらかじめ想定して、質問に対する答えも準備してからメンバーに伝えます。

あたかも大事な顧客にプレゼンに行く前のように入念な準備をします。

伝えている最中も、メンバーが理解できているか、納得しているかをしっかり見きわめながら、納得が不十分なようであれば言葉を足したり、納得いかない部分を聞き出したりして、メンバーの目が、確信で「キラッ」と輝くまで説明する努力をします。

「そんなめんどくさいことを」と思われるかもしれませんが、それが逆なのです。

これをやっておくで、あとが圧倒的にラクになるのです。

上司に言われたから仕方なくやる場合は、「めんどくさいなあ、まあ怒られない程度にやっておけばいいや」という意識が働きます。
このような仕事は、当然ながら「いい仕事」に結びつくことはありません。

しかし、「何のためにやるのか?」を理解して、自分の役割に納得して目が「キラっ」と輝いたメンバーは、その目的に対して積極的な貢献をしようと、自ら動き始めます。

「これ、こんなふうにしてみたらどうでしょう?」
「こんなやり方って、ありですか?」

などと、まかせておいてもアイデアがどんどん出てきて、最終的には、期待以上のびっくりするような成果を上げることがよくあります。

そのときのリーダーの仕事といえば

「うん、それはいいね、やってみて」とか「ああ、それはおもしろいアイデアだけど、ちょっと目的からずれるから少し修正が必要だな」とか、メンバーの作業の調整をしていくだけです。

人は「共通の目的」を持った仲間たちとともに働き、チームに「貢献できた」ことに、ものすごく喜びと誇りを感じます。

この感覚をつかんだチームは、何をやるときでもその快感を得たくて自発的に動くようになるのです。

メンバーが最高のやりがいをもって動き出せるように

「何のためにやるのか?」

を、意義とワクワク感をもってしっかり伝えられる力が、リーダーにとって、ものすごく重要なスキルなのです。



ぜひ、意識して動いてみてください。



庄司 充

2014年10月27日月曜日

社長は会社のビジョンを社員に語れ!


営業コンサルタントの庄司です

前回に続き、ライティング・コンサルタントの開米さんと話をしています。


開米:会社が変わるためには、社長が「本気で信じられる、実現に全力を尽くせる」ビジョンを、「自分自身で」考え、「自分自身で」社員に語りかける必要があるそうですが、そこに至るまでの間に「ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまう」ことがあるというのは、具体的にどんなものなんでしょうか?

庄司:「ダメなやり方」の典型的なのは、なんといっても「丸投げ」ですね。人に振っちゃうんですよ。お前これやっとけ、と、人に振っちゃう。

開米:たとえば誰に振るんですか?

庄司:そこで出てくるのが「ダメなイエスマン」型のマネジャーです。
 社長が頑張って、どうやら「ビジョン」らしきものを考えたとしても、それを社員に語る段階でマネジャーに丸投げしちゃうんですよ。すると「ダメなイエスマン」型のマネジャーはそれをそのままコピーするみたいに現場に伝えてしまう、と・・・

開米:ああ、こういうタイプいましたねえ。「教祖様のお言葉を下々に伝える教団幹部」みたいなマネジャーさん。お前は伝書鳩かテープレコーダーか! と言いたくなる感じの

庄司:そうそう、それです。社長自身には自分の創業時の原体験もありますから、本気で信じているビジョンだったとしても、マネジャーにはそれはわかりませんから、言葉が劣化コピーになっちゃうんですよね。これじゃ現場には伝わりません。

開米:そういうの、現場の人間としては「上の方で何か言ってるな~。また何か浮ついたこと思いついたんだろうな~」ぐらいの感覚で聞いてましたね。

庄司:そうでしょう? 丸投げするとどうしてもそうなっちゃうんです。だから、それじゃダメです、と。社長が現場に降りてきて、社員に語りかけてください、と、私がコンサルに入るといつもそれをうるさく言います。

開米:社長が直接、現場の社員に語ったとしても、簡単じゃないんですよね?

庄司:大変ですよ。最初のうちは「ポカーン」とされるだけです。でも、社長が自分の体験をもとにして本気で信じているビジョンだったら、少しずつ伝わるんです。

開米:でもそれは丸投げしちゃダメ、と。

庄司:はい。まあついつい丸投げしたくなるのはしょうがないんですけどね。本来、会社がある程度大きくなってきたら、社長が現場のマネジャーの仕事してちゃいけないので、「細かいところはお前に任せた」で現場に振っちゃうのが、あるべき姿ですから。

開米:そうですね。でもこの場合に限っては・・・・

庄司:はい、会社を建て直すために、「俺たち全員であそこに行くぞ、こんな会社になるぞ」というビジョンを考えて、それを全社に浸透させよう、というこの段階では、丸投げしちゃいけないんです。社長が自分でやらなきゃいけない。

開米:大変ですね。

庄司:大変ですよ。で、これをやるためには、社長に2つの覚悟が必要です。

開米:2つの覚悟?

庄司:はい、1つは、そのビジョンが示すところに「社員全員を連れて行く」という覚悟です。一人も見捨てない、みんなで行くんだ、という覚悟です。

開米:なるほど、会社がチームとして機能するようになるためにはそれが必要ですね。市場で戦う前に社内で内輪もめしてたら、勝てるわけがないですからね。

庄司:はい、そして2つめは、1つめと矛盾するようですが、「一人になっても行くんだ」という覚悟です。

開米:一人になっても・・・・

庄司:そうです。ビジョンというのは、世の中に価値を提供するイメージです。この仕事はお客さんに役に立つ、価値ある仕事だ、だから俺はやる、たとえ一人になってもやる、という、そういう覚悟があって初めて、それに共感する社員が出てくるんです。

開米:なるほど・・・・いや、実は私も・・・・

庄司:何ですか、何かありましたか?

開米:ある人がそういうビジョンを語るのを聞いて、ぐぐっと来たことがありました。これを実現したい、と本気で願っている人がいると、思わず自分もそれに何か協力できないか、と思っちゃうんですよね。

庄司:そこなんですよ。それにはやはり「一人になってもやる」という覚悟が必要で、それがあると共感してくれる社員が出てくるんです。

開米:なるほど! いや、よくわかります!

庄司:ということで、「丸投げしてはいけない」という最初の話に戻ります。さっきも言いましたけど、本来、会社がある程度大きくなってきたら、社長は現場の仕事をしちゃいけません。でも、この件に関してはそうじゃないんです。会社のビジョンを社員に語るというのは、社長にしか出来ない仕事です。だからここはダメなイエスマン型マネジャーに振っちゃいけない。自分でやらなきゃいけない。そこは常に気をつける必要がありますね。

2014年10月20日月曜日

社長は覚悟を決めてビジョンを語るべし


営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


前回に続き、ライティング・コンサルタントの開米さんと話をしています。

開米:今までのお話をまとめますと、

・「会社が本気で変わろうとする」ためには、社長を含む上級役職者が「権力による強制力」を捨てる覚悟を決めて、現場に降りて指揮をとることが必要。

・しかし、ダメなイエスマン型の上級役職者は、「権力を捨てる」ことができずに辞めてしまうことが多い。

・一方、社長はそれができる。そこは自分で会社を作ってきた社長と、社長からの借り物の権力を振り回してきたイエスマンの違いなのだろう。

・ただし、社長は「権力を捨てて現場に降りてくることが出来る」と言っても、そこに必要な覚悟は並大抵のものではない。

ということでした。となるとここで気になるのが、社長が覚悟を決めれば会社が変われるという、その「覚悟」がどのぐらい「並大抵のものではない」かということです。

庄司:社長が「権力を捨てる覚悟を決める」と、こんなことが起きます。今まで私がコンサルティングをしてきた会社で共通に見られるのが、たとえば「社長が怒らなくなる」ということです。

開米:怒らなくなる?

庄司:はい、「怒る」というのは命令と服従という、「権力」に基づく関係じゃないですか。しかしそれではうまくいかなかったわけですよ。いくら命令しても社員は思い通りには動かない。そして会社が傾いてしまった。それは自分が「チームの育て方」を知らなかったからで、自分の責任なのだ、ということを身にしみて感じると、怒らなくなるんです。

開米:なるほど、でも怒らないと社員がサボるんじゃないかとか、社員に甘く見られるんじゃないかという気がして踏み込めない社長さんもいそうですね。

庄司:そこである会社の例なんですが、社長が覚悟を決めて、怒らなくなり、会社のビジョンを何度も社員に語るようになってから半年ぐらいたったある日のこと・・・・

開米:はい・・・?

庄司:会社の飲み会の場でですね、社員が自発的に肩を組んでその「会社のビジョン」を唱和する、という事件が起きたことがあります。社長さんを大感激させたハプニングでした。

開米:それはヤラセじゃないんですね(笑)

庄司:もちろん誰も仕込んでませんよ(笑)。でもねえ、こんなこと、命令したって出来ることじゃないですからね。

開米:本当に自発的なものだったんですね。

庄司:そうです。ここまでくると、社員がそのビジョンの実現にやりがいを感じて、プライドをもって仕事を進める状態になってますから、「怒らないと社員がサボるんじゃないか、甘く見られるんじゃないか」なんて心配、もう、笑っちゃうぐらいどうでもいいことになりますね。

開米:なるほど、確かにそう言われると「甘く見られちゃいけない」なんて、ものすごい小物感が漂ってきました(笑)

庄司:でしょう? で、こうなるためには、社長が「本気で信じられる、実現に全力を尽くせる」ビジョンを、「自分自身で」考え、「自分自身で」社員に語りかける必要があります。これがとても難しくて大事な大仕事ですね。

開米:難しいというとやはり時間がかかりますか。

庄司:自分の言葉で語れるビジョンを作る、という段階で3週間ぐらいかかることが多いです。

開米:3週間! それは自分の中で明確なイメージになるのにそれぐらいということですね?

庄司:そうです。だからそこから社員に浸透するのにはさらに23ヶ月かかるのが普通ですね。

開米:そこで挫折してしまうケースもあったんですか?

庄司:いや、私がコンサルタントとして関わった会社さんについては、挫折というケースはありません。ですが、最終的にはうまく行くにしても、途中はいろいろあるんですよ、ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまうことが。そこでいちいち、そうじゃなくてこうしましょう、と社長にダメ出しをするのが私の役割です。そういうダメ出し役がいないと挫折しやすいですが、いればうまく行くと思います。

開米:ダメ出しを受け入れるにも覚悟が必要でしょうけれど・・・・

庄司:そうですね、そこは私もいつも感心するところです。自分が出来ないことについては助言を素直に聞く、というのは、さすがに会社を背負う社長という役割をずっと担ってきた、ナンバー2以下とは違う、ふところの深さなんだろうなと思いますね。

開米:なるほど・・・・。ところで、「ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまう」という話が出ましたけれど、具体的にどんなものか興味があるんですが・・・

庄司:そうですね、じゃあ次はその話をしましょうか。

  (長くなりましたので続きは次号で)

2014年10月7日火曜日

イエスマンが会社を去る日はくる?



営業コンサルタントの庄司です


前回、文書化コンサルタントの開米さんから、こんな質問をされたところでした。

開米:社長に対してなんでもハイハイと従う、まあ率直に言ってしまえば「ダメなイエスマン」でも、社長が有能だったら役に立つときもあるわけですよね。ずっとそのままでは困るけれど。でもその「ずっと引きずられちゃ困る」という、社長に対するイエスマン、現場に対するノーマンの感覚を引きずったまま役職を得ちゃって、あげくに抵抗勢力化して現場から「あいつ使えねえ」と言われているような、そんな人って何とかなるものなんでしょうか。変身できた事例ってありますか?

庄司:いやあ・・・・私が直接関わった範囲では、ないですね・・・・

開米:ない、ですか。それはその、希望が持てない話ですねえ


庄司:はは、ただ、会社としては希望は持てるんですよ。というのは、そういう抵抗勢力化している人って、会社が変わろうとしている時にはだいたい辞めちゃうんです。

開米:辞めちゃう? 辞めさせられる、ではなく?

庄司:辞めちゃう、ですね。辞めさせようとしたわけじゃないのに、なぜか辞めちゃう。そういう例が本当に多いんです。

開米:そういえば以前も聞いたことがありましたね、その話。ああ、これですね



権力関係の中での人への接し方はなかなか変わらない
http://sales-pro1.com/mtweb/blog/2014/05/post-37.html


庄司:そう、それです。上司という権力にあぐらをかいて部下に圧力をかける「強権型マネジメント」に陥っているタイプの人は、辞めちゃうわけです。以前も話しましたけど、リーダーが「ダメな自分」を認められれば活路が開けるんですけどね。

開米:「ダメな自分」を認められれば、周りの誰かが助けてくれる。それが「チーム」になるということ、ですね。

庄司:そうなんです。でも、社長はそれができても、強権型マネジメントしかしてこなかったナンバー2にはできない。

開米:自分で会社を作ってきた社長と、社長からの借り物の権力を振り回してきたナンバー2の違いなんですかね・・・・

庄司:そうですね。ただし、それはあくまでも中小企業の場合なんですよ。中小企業の場合はそういう「威張っているだけで役に立たない」、ダメなイエスマンタイプのナンバー2ってだいたい1人しかいないので、その上と下、つまり社長と現場が一緒に変わろうとすると、居心地が悪くなって辞めてしまいます。

開米:大企業では違う、と?

庄司:違いますね。この話、もともとある大企業さんのマネジャー研修を依頼された時の話題がきっかけでしたが、



なぜ大企業ではイエスマンが出世してしまうのか?
http://sales-pro1.com/mtweb/blog/2014/08/post-50.html


庄司:大企業だとそういうタイプの「偉い人」がゾロゾロいるわけですよ。

開米:ゾロゾロいるから、目立たない、と(笑)

庄司:さらに大企業だと、「社長と現場が一緒に変わろうとする」というシチュエーションがなかなかないですから・・・

開米:辞めずに済む、と(笑)

庄司:別な見方をすると、やっぱり大企業にはそういう余裕があるんですよね。役に立たない人も雇っていられる余裕が

開米:イイネ! と言ってみましょうか(笑)

庄司:でも、その分なかなか変われませんからねえ。中小企業なら社長が覚悟を決めるだけで済むような話が、大企業だとそうもいきませんし。永遠にそのままだとやはりどんなに大きくても会社ごと潰れます。

開米:世の中、いいことばかりではないですね。ところで、「社長が覚悟を決める」というのは簡単なことですか?

庄司:・・・じゃあ次はその話をしましょうか



  (さらに続きます)

2014年9月29日月曜日

なぜイエスマンが出世してしまうのか?その2





少しあいだがあいてしまいましたが、前々号から文書化コンサルタントの開米さんと「なぜイエスマンが出世してしまうのか?」という話をしています。今回はその続きを。

開米:今までの庄司さんのお話をちょっと整理してみましょう。まず、会社組織を動かす仕事は大まかに「企画」「遂行」「管理」に分けられますよね。たとえば「新しいコンセプトの商品を作ろう」という最初のアイデアを出すのが「企画」、それを具体的な細かいワークに分解して設計や製造の実務をするのが「遂行」、その遂行をコントロールするのが「管理」です。

庄司:そうですね。

開米:で、会社が小さい段階では、社長が企画を担っているケースがよくあるじゃないですか。単純化するとこんなイメージですが・・・

イエスマン1.png

庄司:社長の指示を現場スタッフに遂行させるのが管理職の仕事、という面はどうしてもありますよね。そればっかりではないにしても・・・

開米:そう考えると、この段階で「管理職」に求められる役割は「社長に対するイエスマン、現場に対するノーマン」という面がないですか?

庄司:現場に対するノーマンってどういうことです?

開米:現場に対して「ノー」と言うこと。要は現場の反対を押さえること。新しいことをやろうとすると「そんなの無理です、できません」とか「やっても無駄です」と言う人ってどっかに出てくるじゃないですか。

庄司:ああ、ありますねそれは。

開米:そこで現場と一緒になって、「社長、それは無理です」なんて言い出すようじゃ、管理職として無能ですよね。

庄司:ああ、そうそう。それやっちゃうと成長止まりますからね。中にはダメな指示もあるでしょうけど、
とにかくやってみてその結果をもって次の手を打つ姿勢が大事なんですよ。

現場が抵抗勢力になっちゃうのを押さえる意味での「現場に対するノーマン」ですね。社長が無能だったらどのみち会社は潰れるので、社長の指示と現場の抵抗とどっちを優先すべきかと言ったら、原則的には社長の指示のほう。そうすると必然的に社長にたいするイエスマン、現場に対するノーマンになりますね。

開米:そう、ところが会社が成長して社長が本格的に現場から離れると、企画の仕事もかなりの割合が現場のほうに移ってくるじゃないですか。社長からは細かい指示が出なくなり、現場リーダーが企画を立てて提案をしてくるようになる、そんな段階になってまでその上の役職者が「現場に対するノーマン」じゃあ困りますよね。


イエスマン2.png


庄司:そうそう、まさにこういう状況ですよ。こうなると現場が変わろうとしてるのに管理職が抵抗勢力になっちゃうんですよね。

開米:で、こういう人が不思議なほど多い・・・と?

庄司:そうなんです。私が縁のある大企業の役員とかそれに近いクラスにはビックリするぐらい多い印象です。

開米:ただ、「イエスマン」って普通はあまり良いイメージでは使われませんけど、こう考えると馬鹿にしちゃいけないと思いますね。
社長に対するイエスマンという役割が求められる時期もあるってことじゃないですか。

庄司:そうですね、時と場合によるんですよ。「社長に対するイエスマン、現場に対するノーマン」の感覚をずっと引きずられちゃ困るというだけで。それが必要な時期もあるので、全否定すべきではないと思います。

開米:ありがとうございます。ところで、それじゃ、その「ずっと引きずられちゃ困る」という、社長に対するイエスマン、現場に対するノーマンの感覚を引きずったまま役職を得ちゃって、「あいつ使えねえ」と言われて抵抗勢力化しているような、そんな人って何とかなるものなんでしょうか。変身できた事例ってありますか?

庄司:それはですね・・・


(長くなりましたので続きは次号で)

2014年9月25日木曜日

超私的旅行記「なぜか上海」


ちょっと遅めの夏休みをとって上海に行ってきました。

50歳を過ぎてから、中学高校時代の仲間たちと毎年夏に「アホのおっさん旅行」を開催しているのですが、メンバーのひとりがなんと上海に転勤になったため「じゃあみんなで行っちまえ」ということになったのです。

自慢じゃあありませんが飛行機ぎらいのわたしは10数年前にハワイに行ったきり海外には行っていません。

ましてや中国に行こうなんてこれまで一度も思ったことはありませんでした。

今回は、そんな海外ドシロウトのわたしがはじめての中国で見て感じたことを書いてみようと思います。 
超私的旅行記 「なぜか上海」

成田から飛行機で約2時間40分、そのうちの半分以上は日本上空を飛び九州を超えて海の上に出たら間もなく中国大陸だ。案外近い。

中国に近づくと気のせいか、なんだか雲が黄色いような・・・ 黄砂なのか?まさかPMなんちゃらのせいか?

と、思う間もなく今度は海が見えてきた。
はじめて見る中国の海は・・・ ちゃ、茶色い!
なんだこの汚い海は、こりゃあ釣りなんか絶対できない、きっとナマズしかいないにちがいない。

とかなんとか初心者丸出しで騒いでいるうちに上海浦東空港に到着。
ついにきてしまった中国。
だだっ広い・・・はてしなくだだっ広い、そしてなんだかほこりっぽい それが最初の印象だ。

友人が中国人運転手つきの車で迎えに来てくれた。

はじめは運転手つきなんてぜいたくなと思ったが、少し走るとすぐに理由がわかった。

片側5車線も6車線もある高速道路を、ものすごい数の車が走っていて次々と車線に割り込んでくる。しかも数センチ単位の幅寄せで。
ひっきりなしにクラクションが鳴っていてナンバープレートのない車まで走っている。
こんなところで日本人は絶対に運転できない!
しかし中国人運転手の孫さんはまったく意に介する様子もなく涼しげな顔で車を走らせる。
これには驚いた。いきなりのカルチャーショックだ。

一般道に降りるとさらなる衝撃が。
なんとバイクが逆走してくる。3人乗りのやつらもいる。
友人によるとミニバイクには交通ルールがなく歩行者と同じあつかいなんだそうで、道路の逆走も歩道を走るのもあたりまえ、信号なんてあってないようなもの、これがそこらじゅうを走っていてこれまたクラクションを鳴らしまくっている。
この街では外にいるあいだつねにクラクションの音が鳴っている。聞きしに勝るとはこのことだ。

なんちゅう国だと思ったが、しばらくするとあることに気がついた。
それは、日本人が鳴らすクラクションには「何やってんだ、こら!」という怒りや威嚇が入っていることが多いが、

中国人のクラクションは「わたしはそこを通るぞ」という意思表示だということだ。

友人が言うには、こちらもひるまず「おれもここを通るんだ」と強い意志を示せという。

そうか、日本の10倍以上の人間がひしめくこの国では遠慮なんかしていたらあっというまに大衆の渦の中に埋没してしまうんだ。

話すときも日本の日常会話ぐらいの音量では「ひとりごと」としか認識されないらしい。

日本人からすると、中国人は声がでかくていつも怒っているように感じてしまうのはこういうことだったんだ。

そんなふうに理解すると、なんだか街の見え方も変わってきておもしろくなってきた。

確かにあっちこっちで激しく言い争っているような光景に出くわすが、つかみ合いになるようなことはなく、おたがい激しく主張しながらじょじょに落としどころを見つけておさめていくのだそうだ。

そう考えると、表面上は「いえいえ、いいんですよ~」とか言いながら腹のなかで「まったく頭にくるぜ!」と思っているかもしれない日本人のつきあい方より、むしろ健全で清々しくさえ思えてくる。

上海の中心街に入ると、今度はものすごい数の高層ビルが出迎えてくれた。通りの看板の意味不明な中国語がいやでも異文化を感じさせてくれる。

その後、古い楼閣が立ち並ぶ豫園商城から日本の銀座のような繁華街の南京東路を巡り、定番の小籠包を食べながら青島ビールで乾杯して、これまた定番の上海雑技団を見る。
翌日は、少し足を延ばして「東洋のベニス」といわれているらしい運河の町、蘇州から4大庭園のひとつの留園を周る。
おそろしいほどの数の人と車とクラクションはどこにいっても健在だ。

昔からのアホ仲間なので、ああじゃあこうじゃあと大笑いしながらあっという間に3日間の日程が過ぎていく。もしかすると我々のほうが中国の人よりうるさかったかもしれない。

上海の街では、きれいに化粧をしてミニスカートをはいた女の子たちと、せいいっぱいおしゃれをしてかっこつけた男の子たちがそこらじゅうで恋愛を楽しんでいた。
その横を自転車の荷台になんだかよくわからん段ボールみたいな荷物を山のように積んだほとんど下着姿のおっさんがふつうに通り過ぎていくが誰も気にしていない。

きれいなショッピングセンターやレストランが立ち並ぶ通りも足元を見るとそこらじゅうにゴミとたばこの吸い殻が落ちていて、おっさん、おばはんが平気で道ばたに唾をはいている。これまた誰も気にしていない。

この物質的な文明の急速な発展と文化レベルの未熟さのギャップは、まるで昭和30年代から40年代の日本のようだ。

いっしょに行ったメンバーの中でも喫煙者の連中は、久々の路上喫煙を満喫していた。

海外事情に疎いわたしは、正直なところ、日本語が聞こえたらにらまれたりするのでは、などとあらぬ心配をしていたのだが、少なくともものすごい勢いで経済成長を続けその恩恵を享受しようと中国全土から怒涛のように人が集まってきているこの街では、日本人がどうだとか、対日感情がどうだとか、そんなちっぽけなことはどうでもいいことのように感じられた。

そして、凄まじくやかましいこの街の人たちは、なんだかとても純粋に思えた。

中国の、それも上海のほんの一部をチラッと見ただけではあるが、ちょっとだけ人生観が広がったような気がした3日間だった。
また行ってもいいな。

※「なぜ大企業ではイエスマンが出世してしまうのか?」の続きは次号からお送りします。