2014年10月20日月曜日

社長は覚悟を決めてビジョンを語るべし


営業チーム強化コンサルタントの庄司充です


前回に続き、ライティング・コンサルタントの開米さんと話をしています。

開米:今までのお話をまとめますと、

・「会社が本気で変わろうとする」ためには、社長を含む上級役職者が「権力による強制力」を捨てる覚悟を決めて、現場に降りて指揮をとることが必要。

・しかし、ダメなイエスマン型の上級役職者は、「権力を捨てる」ことができずに辞めてしまうことが多い。

・一方、社長はそれができる。そこは自分で会社を作ってきた社長と、社長からの借り物の権力を振り回してきたイエスマンの違いなのだろう。

・ただし、社長は「権力を捨てて現場に降りてくることが出来る」と言っても、そこに必要な覚悟は並大抵のものではない。

ということでした。となるとここで気になるのが、社長が覚悟を決めれば会社が変われるという、その「覚悟」がどのぐらい「並大抵のものではない」かということです。

庄司:社長が「権力を捨てる覚悟を決める」と、こんなことが起きます。今まで私がコンサルティングをしてきた会社で共通に見られるのが、たとえば「社長が怒らなくなる」ということです。

開米:怒らなくなる?

庄司:はい、「怒る」というのは命令と服従という、「権力」に基づく関係じゃないですか。しかしそれではうまくいかなかったわけですよ。いくら命令しても社員は思い通りには動かない。そして会社が傾いてしまった。それは自分が「チームの育て方」を知らなかったからで、自分の責任なのだ、ということを身にしみて感じると、怒らなくなるんです。

開米:なるほど、でも怒らないと社員がサボるんじゃないかとか、社員に甘く見られるんじゃないかという気がして踏み込めない社長さんもいそうですね。

庄司:そこである会社の例なんですが、社長が覚悟を決めて、怒らなくなり、会社のビジョンを何度も社員に語るようになってから半年ぐらいたったある日のこと・・・・

開米:はい・・・?

庄司:会社の飲み会の場でですね、社員が自発的に肩を組んでその「会社のビジョン」を唱和する、という事件が起きたことがあります。社長さんを大感激させたハプニングでした。

開米:それはヤラセじゃないんですね(笑)

庄司:もちろん誰も仕込んでませんよ(笑)。でもねえ、こんなこと、命令したって出来ることじゃないですからね。

開米:本当に自発的なものだったんですね。

庄司:そうです。ここまでくると、社員がそのビジョンの実現にやりがいを感じて、プライドをもって仕事を進める状態になってますから、「怒らないと社員がサボるんじゃないか、甘く見られるんじゃないか」なんて心配、もう、笑っちゃうぐらいどうでもいいことになりますね。

開米:なるほど、確かにそう言われると「甘く見られちゃいけない」なんて、ものすごい小物感が漂ってきました(笑)

庄司:でしょう? で、こうなるためには、社長が「本気で信じられる、実現に全力を尽くせる」ビジョンを、「自分自身で」考え、「自分自身で」社員に語りかける必要があります。これがとても難しくて大事な大仕事ですね。

開米:難しいというとやはり時間がかかりますか。

庄司:自分の言葉で語れるビジョンを作る、という段階で3週間ぐらいかかることが多いです。

開米:3週間! それは自分の中で明確なイメージになるのにそれぐらいということですね?

庄司:そうです。だからそこから社員に浸透するのにはさらに23ヶ月かかるのが普通ですね。

開米:そこで挫折してしまうケースもあったんですか?

庄司:いや、私がコンサルタントとして関わった会社さんについては、挫折というケースはありません。ですが、最終的にはうまく行くにしても、途中はいろいろあるんですよ、ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまうことが。そこでいちいち、そうじゃなくてこうしましょう、と社長にダメ出しをするのが私の役割です。そういうダメ出し役がいないと挫折しやすいですが、いればうまく行くと思います。

開米:ダメ出しを受け入れるにも覚悟が必要でしょうけれど・・・・

庄司:そうですね、そこは私もいつも感心するところです。自分が出来ないことについては助言を素直に聞く、というのは、さすがに会社を背負う社長という役割をずっと担ってきた、ナンバー2以下とは違う、ふところの深さなんだろうなと思いますね。

開米:なるほど・・・・。ところで、「ついつい今までの習慣で、ダメなやり方をしてしまう」という話が出ましたけれど、具体的にどんなものか興味があるんですが・・・

庄司:そうですね、じゃあ次はその話をしましょうか。

  (長くなりましたので続きは次号で)

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